労働生産性とは?分析の指標・計算方法・生産性向上施策について解説

前回は生産性向上の意義や目的について紹介しましたが、今回はもう一歩踏み込んで労働生産性とは何か、また向上させるためにどんな方向性が考えられるかについて紹介します。

【前回のコラム】

>>生産性向上のシンプルな意味や目的とは?具体例でわかりやすく解説

2つの生産性

労働生産性とは、簡単に言うと「労働者1人あたり、もしくは労働1時間あたりでどれだけの成果を生み出したか」を表すものとなります。

「生産性」という言葉の定義も2種類存在しており

・物的生産性

・付加価値生産性

この2点にフォーカスして説明していきます。

物的生産性

生産量/労働量で表され、この生産量は生産するものの大きさや重量、個数などの物量をさします。

物の値段・金額で比較した際、物価の変動や生産技術の向上による影響を受けてしまうので、こちらの方法で比較する方が優れているといえます。

付加価値生産性

付加価値額/労働量で表され、この付加価値額は企業が新たに生み出した金額をさします。

この付加価値にも控除法加算法の2種類の求め方があります。

付加価値生産性の求め方

控除法

付加価値=売上高−外部購入価値

外部から購入した際にかかる費用を除き、自分たちの手を加えた部分に対する価値がどれくらいなのかを表します。

外部から購入するものにかかる費用とは、具体的に材料費、購入部品費、運送費、外注加工費などが考えられます。

加算法

付加価値=経常利益+人件費+貸借料+減価償却費+金融費用(支払利息)+租税公課

上はあくまでも一例ですが、このように製品やサービスの生産の過程において付加価値が積み上げられていくという捉え方をした計算方法です。

労働分配率

付加価値を構成する要素ごとにさらに分解して、生産性を分析する方法もあります。

労働分配率(%)=人件費/付加価値額

付加価値の中でどれくらい人件費が占めているかを示すものであり、これが60%を越えると企業の収益は厳しくなると言われています。

ここで注意するべきなのが、国際的に「労働生産性」を比較するときに使われるのは上記の物的生産性、付加価値生産性のいずれでもなく、GDP(国内総生産)を就業者数もしくは就業者数×労働時間で割った、よりマクロの視点のものであるということです。

これに関しては、また後日別記事にて詳しく説明したいと思います。

業種別で見る労働生産性

さて、先ほど紹介した付加価値額を用いた労働生産性で企業規模、業種での労働生産性を比較してみると、

【引用元】中小企業白書 2016

中小企業、そしてその中でもサービス業において顕著に労働生産性が低いことが見てとれます。

しかし一方で、2000年代後半における労働生産性の伸び率はサービス業が製造業を上回っているということもわかっており、サービス業内における企業間の労働生産性の格差が存在するとされています。

生産性の高い企業の特徴

1)有形資産やソフトウェア資産量

2)人的資本に対する投資量

3)企業統治における透明性の高さ

生産性を高めることに成功している企業に着目すると、上記のことが影響しているのではないかということが示唆されています。

ソフトウェアに関連して、ITの導入に関しては、日本が遅れているということはよく耳にしますし、IT面での投資が最も手のつけやすい部分でもあるので、以下にIT化の現状を見ていきましょう。

IT化の現状

IT導入と一口に言っても、様々な分野に分けられます。

・一般オフィスシステム(ワード・エクセルなど)

・電子メール

・給与・経理業務のパッケージソフト

・調達、生産、販売、会計などの基幹業務統合ソフト

・電子文書での商取引や受発注情報管理

・グループウェア(スケジュール・業務情報の共有およびコミュニケーション)

この6つの項目に分けた際には、調達や販売、受注管理などの領域におけるIT化がとりわけ遅れていることが明らかにされました。(「中小企業白書」平成29年版)

IT導入率と満足度

三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる中小企業30000社を対象とした調査では、ITを導入したのが全体の68.4%であり、さらに期待した効果が得られている、もしくはある程度の効果が得られていると回答したのは全体の62.6%となりました。

【引用元】平成 29 年度 人手不足下における中小企業の生産性向上 に関する調査に係る委託事業 調査報告書

単純計算すると満足度は90%を超えており、IT導入率自体はまだ伸ばしていく余地はあるものの、その満足度については担保されていると捉えてよいのではないでしょうか。

IT導入効果の理由

IT導入の効果が得られた理由においては、この3つが上位にきています。

・導入の目的・目標が明確だった

・専任部署あるいは専任の担当者を設置した

・経営者が陣頭指揮をとった

IT導入の課題

反対に、導入における課題に関しては、この3つが上位にきています。

・コストが負担できない

・導入の効果がわからない、評価できない

・従業員がITを使いこなせない

これらのことに関しては、導入率が上がれば自ずと改善されていく、もしくは補助するようなサービスや政策などが出てくることが予想されます。

また、IT導入によって単に業務が代替されるだけでなく、財務・労務・在庫管理・受発注など業務領域間の連携も促すといった効果が報告されています。

さいごに

初期投資のコストを考えるとなかなかIT導入を渋ってしまう場合がまだ多いのが現状だと思われますが、

長期的な視点で労働生産性をあげていくためには、IT導入がめぐりめぐって最も効率的とも言えるかもしれません。

【参考リンク】

公益財団法人日本生産性本部「生産性運動」

みずほ総研論集2013Ⅰ号「わが国のサービス産業」

中小企業活力向上プロジェクト「労働生産性」

中村有里

(株)NOMALインターン

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