【固定残業代】メリット・違法性・基本給との関係を社労士が解説

経営者の方々とお話をしていると、当社は「固定(みなし)残業制」を採用している、とお聞きするケースがあります。

しかし、よくよくお話を聞いていくと、メリットだけを拡大解釈して、違法性やそのリスクについて気づいていないことが多々あります。

今回は固定残業代について解説をいたします。

>>残業問題まとめ!平均時間・上限規制・違法性など【社労士解説】

固定(みなし)残業代って?

毎月の給与の中に、予め必要な残業時間を盛り込み、残業代の支払いをしていく制度です。

例えば、25時間の残業が毎月定例で見込まれる、ということであれば、25時間分の残業代を毎月支給することになります。

社員側のメリット

仕事が円滑に進み、決められた時間内(上記の場合なら25時間未満)に業務が終了すると、社員からみれば、実際よりも短い勤務時間で残業代が得られるのでメリットになります。

経営者側のメリット

経営者側にとっては、社員に対する業務効率化・時間短縮の意識付けに活用が出来ることや、またタイムカードの集計作業が楽になる点はメリットです。

誤解から生じる違法性

以下について、どう思われますか?

①固定残業代は最低賃金をもとに計算している。
②固定残業代を支払っているので、勤務時間は特に管理していない
③当社は毎月固定残業代を支払っているので、何時間でも残業をさせられる
④固定残業代は基本給に織り込んでいるので、給与明細上は区分していない

もし、上記4つの内、どれか一つでも当てはまれば、それは大きな誤解があり、違法性の可能性が高くなります。

固定残業代の正しい運用について

以下が固定残業代の正しい回答になります。

①最低賃金をもとに計算している場合

残業代の単価は最低賃金ではなく、その人の基本給や諸手当をベースにして計算していきます。

もしも最低賃金をベースに計算している場合は、未払い残業代が発生していることになります。

また、残業代単価の計算から除ける諸手当は法律上、7つしかありません。

・家族手当

・通勤手当

・別居手当

・子女教育手当

・住宅手当

・臨時に支払われた賃金

・1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金

いずれも業務との関連性が薄いとみなされるものであり、これ以外は全て残業代の単価計算に含めないとならないことになります。

そうすると、基本給だけを残業代単価に設定していると、それも違法の可能性が高くなってくると言えます。

②勤務時間を管理していない場合

決められた残業時間を超えたかどうか判断する際には、当然、勤務時間管理が必要です。

また、働き方改革関連法案施行により、2019年4月1日からは、全ての労働者に対して会社が客観的・適切な方法で勤務時間を管理するように法律で義務付けられます。

③何時間でも残業をさせられるか

固定残業制は、予め決められた残業時間に見合った残業代を支払う制度なので、決められた残業時間を超えた分に対しては、残業代の支払いが必要です。

④給与明細上で区分していない場合

固定残業代を導入する場合は、何時間分の残業代なのか予め雇用契約書等に記載し、就業規則に明記し、給与明細上も分けて表示する必要があります。

基本給に残業代が含まれている、との主張はこのような手順を踏まえて導入していない場合は認められません。

労働時間管理と密接に関係しているので、ここまでお読みいただければそのことがご理解いただけますかと思います。

まとめ

固定残業代について、誤解から生じている法違反については直ちに見直す必要があります。

このことは未払い残業代のリスクにつながるからです。

また、実際の残業時間を超えた時間設定をしている場合も要注意です。

残業の実態よりも多くの人件費を払い、それに伴って社会保険料の上昇を招いている可能性があるためです。

働き方改革の流れで、長時間労働の抑制と、労働時間の管理は、これから先ますます重要になってきます。

そう考えると、固定残業代制度のメリットは今後、薄れていくのではないでしょうか。

>>残業問題まとめ!平均時間・上限規制・違法性など【社労士解説】

吉村和也

社労士

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