離職率が低いデメリットとは?3つのポイントを事例でキャリアコンサルタントが解説

離職率は、企業の労働環境や職場環境が適正であるかのバロメーターともいわれています。

社内スキルやノウハウの蓄積のためにも、離職率は少なければ少ないほうが良いと考えている人は多いのではないでしょうか?

しかし、離職率が高いことは絶対的な悪ではありません。

逆に、離職率が低いことで事業や社員のキャリアに悪影響を与えることもあります。

ここでは具体的に紹介していきたいと思います。


離職率が低い3つのデメリットとは?

離職率が低いことが起因となる主なデメリットは下記の3つです。

①社内の平均年齢が高くなる

離職者が少ないと新入社員の受け入れができず、必然的に社内が高齢化してきます。

高齢化するとスキルが安定する一方、新しい発想が生まれにくく時代の潮流に乗れないという事や、社内に活気がなくなってしまう事もあります。

②ポストが固定されてしまう

離職者が少ないと役職者などのポストが足りなくなり、頑張っている社員をなかなか昇進させることができなくなります。

頑張っても昇進できない社員は向上心がなくなり、事業を発展させることが難しくなるケースもあります。

③社外でのキャリア形成が難しくなる

離職者が少ない会社・職場では「転職する」ことに対して一種の恐怖心が生まれてしまいます。

社内での評価を過剰に気にしてしまい、向上心をもって社外でも通用する知識・スキルを身に着けて会社に貢献するよりも、今ある仕事を黙々とこなすことを優先してしまう傾向が強くなり、社の発展にも悪影響が出ることもあります。

離職率の低さがデメリットになる事例

では、離職率の低さがもたらすデメリットの具体的な事例をご紹介します。

A社(機械製造業)

高度経済成長期に創業した機械製造業のA社は、社員のサービス残業など過重労働などによって事業を拡大してきた。

2000年代になり労働組合の発足、株式上場を経ていち早く社員の労働環境整備に取り組んだ効果もあり、10年連続で年間離職率1%以下という数字をたたき出している。

しかし、リーマンショック後の業績低迷からなかなか脱却できず、新規事業や新工場の設立などの明るい話題もなく、新卒採用はここ5年行っておらず社内の平均年齢も10年間で7歳上がった

ここ数年顕著になってきた製造業のグローバル化、IT化への対応も遅れており、発展的な事業継続に対して不安を抱えている。

B社(飲食業)

1990年代に創業し、東海地区に約30店舗の直営店を運営する飲食業のB社は、創業当時に入社した社員が中核となって事業運営をしている。

その多くは40代、50代で本社機能や店舗運営の上位職を彼らが独占しているため、若手社員は人事考課が高くてもそれに見合ったポストを用意されることはない。

職能給はあがっても職位給はいつまでたっても上がらず社員の不満がたまっており、本社と店舗との温度差、考え方の溝が広がってしまっている。

離職率が低くて働きやすい職場とは?

それでは離職率が低くて働きやすい職場の定義とは何なのでしょうか?

答えは、離職率の低さがもたらすデメリットを軽減する対策が取られている職場ということができます。

具体的には下記のとおりです。

平均年齢に対する対策

社内の平均年齢が上がることはデメリットばかりではありません。

多くの成功・失敗に基づいた社内スキルやノウハウが伝統的に蓄積されているため、それを活かした社員教育・育成が可能です。

マイノリティーである若年層に対して、ベテラン社員から積極的にコミュニケーションをとるなど働きやすい環境作りを進めている職場は、平均年齢が高くても働きやすいといえます。

ポストが固定化されないための対策

若手社員が頑張っても目標とするポストにつけない職場は魅力がありません。

そうならないためには、やはり事業拡大によるポストの創出が必要ですが、中長期的な事業戦略にもかかわる問題ですので、1期2期業績がよかったからと言って簡単に解決できる問題ではありません。

そこで、評価制度やポストの細分化などの工夫、年功序列による人事配置を廃止し、能力のある一部の若手社員を登用することで限られたポストでも社員の向上心を維持している企業もあります。

社員のキャリア形成に対する対策

社外キャリアを考えない社員は、スキルや知識が偏ってしまいがちですが、評価制度や登用制度を工夫し、社内でも多様なキャリア選択を可能としている企業もあります。

さらに、集合研修やeラーニングなど社内外の教育制度を活用する企業は、自律的な社内キャリア形成の可能性が広がります。

その他、社内キャリアカウンセリング制度の導入などもお勧めです。


さいごに

離職率が低いことのデメリットを解説してきました。

もちろん低いことのメリットもありますし、属性(業種、事業所規模)ごとに適正な離職率というものがあります。

まずは自社の離職率とその問題点をしっかり把握されたうえで、適切な対策を講じていくことをお勧めします。

植前 健太郎

産業カウンセラー 国家資格キャリアコンサルタント

飲食・流通業界出身。企業・自治体・学校と幅広い領域にてキャリアサポートを行う。

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  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2018年11月7日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。
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