離職率の低いIT企業5選!ユニークな取り組みをキャリアコンサルタントが解説

厚生労働省産業別入職率・離職率によると、平成28年度、情報通信業の離職率は10.2%ですが、純粋なIT業界に限定すると15%程度だと言われています。

この数字は宿泊・飲食などのサービス業(30.0%)を除いては、比較的高い数字であり、教育・学習支援業(15.0%)や医療・福祉業(14.8%)と同様の離職率となっています。

しかし、中には様々な対策を行うことによって、離職者を大幅に減らすことに成功した企業や、コンスタントに10%を切っている企業も存在します。

今回はIT業界の離職率の現状と企業の取り組みについて解説したいと思います。

IT企業で離職率が高い3つの原因は?

IT企業の離職率の高さは次の3つの原因が挙げられます。

①歴史の浅いベンチャー企業が多い

IT業界は比較的歴史が浅く、そのほとんどがベンチャー企業に分類されます。

一口にベンチャーといっても、サイバーエージェントやDeNAといったメガベンチャーから、従業員が数名といった零細ベンチャーまで様々な規模があります。

黎明期で成長途上のベンチャー企業は、福利厚生制度はもちろん教育制度・評価制度など、長期にわたって勤続する上で必要な社内制度が未整備であることが離職原因となっている場合もあります。

②非正規のエンジニアが多い

ITエンジニアは他の職種と比較し、非正規雇用が多いと言われています。

これは、1社で全ての工程を完結できる企業が少ないIT業界のピラミッド型構造にも起因しています。

様々な企業のプロジェクトに参加することでスキルアップしたい

そう考えるエンジニアにとっては正規雇用であるメリットは少なく、結果として離職が多くなります。

※しかし、非正規でも給与は正規と同様の水準であることが多く、これも非正規雇用が多いIT業界の現状を物語っていると言えます。

③企業・エンジニア双方に独立志向が高い

ITエンジニアとしてのキャリア形成の中に「独立・フリーランス」という選択肢もあります。

実際に、将来の目標として独立を掲げるエンジニアも多く、それを前提として採用している企業もあることから、結果として離職率に影響を及ぼしています。

フリーランスのエンジニアはスキルを身に付けて、それを発揮できる場を探す。
企業はエンジニアの技術を買い、それが活かせる場を提供する。

そういった一種のギブアンドテイク関係が成立している業界とも言えます。

離職率の低い5つのIT企業とは?

IT業界はその特徴から、他業界のように離職率0%を目指して取り組んでいる企業は多くありません。

よって就職四季報の定着率ランキングで上位に来る企業はほぼありませんが、様々な取り組みにより離職率を改善した企業はあります。

ここでは特徴的な5社をピックアップしてご紹介します。

①サイボウズ

大規模な人事制度(働き方)の改革を行った結果、28%あった離職率が4%にまで減少。

同社の取り組みは、IT業界のみならず離職率対策の成功例として各所で紹介されています。

②ビースタイル

全方位コミュニケーションの実現など社内風土の見直しを行い、3年間で離職率20%⇒8%を実現。

③カヤック

キャリア面談の実施、インセンティブ制度の導入などの施策により25%あった離職率を2017年度には13%まで改善。

④グローバルシステムズ

休暇が取得しやすい環境、上流から下流まで自社で多くの工程を担当できる業務の多様性などの理由から、過去3年間の定着率100%を実現。

⑤メイプルシステムズ

逆転の発想で、社員のキャリア実現のために、転職を視野に入れた「オープンキャリア制度」を導入しています。

結果的にポジティブなキャリア形成が出来ているようです。

スローガンは「離職率100%」

離職率が低い会社のユニークな取り組み3選は?

次に、離職率対策としてユニークな取り組み事例をご紹介します。

①「ずる休み制度」を導入…パスクリエイト

インターネットマーケティング事業などを展開するパスクリエイトでは、事前に申請しなくても有給休暇を取得できる「ずる休み制度」を導入しています。

3ヶ月に一度(程度)利用でき、当日に電話一本で休暇が取得出来ます。

「ずる休み」をいう単語を使うことによって、理由にかかわらず気軽に休暇を取得できる点がユニークですね。

②「かき氷食べ放題始めました!」…サイブリッジ

Webインテグレーション事業などを展開するサイブリッジでは、スーパークールビズを導入するにあたり、業務時間内に設けられた「リブートタイム」といわれるリフレッシュタイムに20種類のフレーバーのかき氷を好きなだけ食べる事が出来る設備を導入しました。

社内で実際にかき氷を製造し社員に提供している点がユニークですが、来客者にも提供されるようです。

③「ぜんいん人事部」「のこるん同期旅行手当」

ソーシャルゲームなどのコンテンツ制作事業を展開するカヤックでは、先に紹介した施策の他にも様々な制度を導入して離職対策を行っています。

全社員の名刺に「人事部」の肩書を乗せ、相互評価を行っている「ぜんいん人事部制度」、同期入社の5年後の離職率に応じて旅行手当を支給する「のこるん同期旅行手当」など、ユニークな制度が特徴です。

さいごに

IT企業は歴史の浅いベンチャー企業が多く、エンジニアのキャリア形成にかかわることなどから離職率が高い傾向にもありますが、抱えている事情や課題ははサービス業、医療・福祉業界とは全く異なります。

また従来の日本企業とは違い、風通しのよい風土、先進的な取り組みを持つ企業も増えてきています。

さらに、一部の企業では始まっていますが、他業界に先駆けて副業、パラレルキャリアを容認、推奨する動きが加速していくと予想されており、離職率対策の新しい形となるかもしれません。

植前 健太郎

産業カウンセラー 国家資格キャリアコンサルタント

飲食・流通業界出身。企業・自治体・学校と幅広い領域にてキャリアサポートを行う。

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