障害者雇用の法定雇用率の計算方法・端数・障害者雇用納付金は?社労士が解説

法定雇用率とは?

法定雇用率とは、障害者雇用促進法において、少なくとも5年ごとに障害者雇用率が見直される予定になっているものです。

一定規模の労働者がいる会社に対して、障害者を雇用することを義務づけた制度です。

執筆時点(2018年4月1日~2023年3月31日)では、民間企業では2.3%とされています(公的機関はこの率より0.2~0.3%高い数値目標が設定されています)。

ただし、3年を超えない範囲で2.2%となっています。

全従業員の中の2.3%を障害者の雇用をすることを義務づけているものですので、概ね従業員が43人~44人くらいで1名の障害者を雇用することになっています。

2.2%であれば44.5人従業員を雇用している場合には雇用義務が発生します。

障害者雇用の法定雇用率は昭和51年に開始されており、当初は1.5%でした。

その後、何度かの雇用率の増加をし、2018年4月1日以前5年においては、民間企業では2.0%の法定雇用率を設定しておりました。

法定雇用率の計算方法

そもそも法定雇用率はどのように設定されるかというと、以下のような計算式で国が計算します。

【引用元】障害者雇用率制度の概要 厚生労働省

このような計算の上、現在は2.2%(3年以内に2.3%)という設定がされています。

そして、企業は障害者雇用率制度においては、以下の条件を満たす方を雇用することで法定雇用率を満たします。

・身体障害者手帳を所持している。
・療育手帳を所持している。
・精神障害者保健福祉手帳を所持している。

これらの方々を、通常週30時間以上の時間で雇用した場合にカウントします。

しかし、重度かそうではないか、また勤務時間によってカウントされる数が変わります。

具体的には以下の通りです。

①重度身体障害者もしくは重度知的障害者については1名を2名として計算する。
②短時間労働者の重度身体障害者、重度知的障害者は1名として計算する。
③短時間労働者の精神障害者については0.5人として計算する。

このように、状態や雇用形態によってカウントが違いますが、いずれにしても法定雇用率を満たすことが会社の義務になります。

法定雇用率の端数はどう処理するのか?

法定雇用率を算出するときに発生する端数は、以下の条文にあるように「切り捨てる」ことになっています。

障害者の雇用の促進等に関する法律(一般事業主の雇用義務等)
【第四十三条】(抜粋)
雇用する対象障害者である労働者の数が、その雇用する労働者の数に障害者雇用率を乗じて得た数(その数に一人未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる)以上であるようにしなければならない。

例えば、民間企業で従業員数300人の会社において、雇用義務のある障害者数は以下のように計算されます。

300人(従業員数)×2.2%(法定雇用率)=6.6名。

端数は切り捨てるので6名

6名を雇用していないと障害者雇用納付金制度による納付が発生してしまいます。

納付金は一人当たり月\50,000(年間\600,000)ですので、かなり大きい金額ですね。

これが数人いた場合はどうでしょうか。

とても大きな金額になりますが、このお金は支払う企業の事だけで言えば、全く価値を生み出さないお金です。

要するに余計な出費がかかるということです。

企業としてはここに支出をするのであれば、積極的に雇用をして雇用した障害者の能力を活かして戦力化した方が良いのは間違いありません。

法定雇用率を満たす要件に該当する対象者は?

法定雇用率の対象になる障害者とは、身体障害、知的障害、精神障害の手帳を所持している方です。

あくまで障害者雇用においては手帳の有無が関係します。

省庁が障害者雇用に関して法定雇用率の未達成状態が続いていたことが問題になっていますが、雇用する際に手帳の有無を確認することが求められます。

・身体障害者は「身体障害者手帳」

・知的障害者は「療育手帳」

・精神障害者は「精神障害者保健福祉手帳」

療育手帳に関しては、名称が自治体によって違う場合がありますが、同じことを示していると思ってください。

また、いわゆる発達障害と呼ばれる方々も手帳を取得することができます。

検査をして判定の結果、知的障害を伴うと認めれた場合は療育手帳の対象になります。

精神障害(発達障害、高次脳機能障害を含む)のため、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方の場合は精神障害者保健福祉手帳の対象になります。

なお、知的障害と精神障害の両方を有する場合は、両方の手帳を受けることができます。

【参考サイト】愛の手帳Q&A,東京都福祉局

さいごに

法定雇用率を満たすということは、一定規模の企業にとっては「義務」です。

法律が定めた要件であるため、本意かどうかは別としてやるしかないのだろうと思います。

しかし、数を確保したから良いのかというと、それは法が求める本質的な考え方ではありません。

障害者雇用対策基本方針(平成30年厚生労働省告示第178号)には以下のような記載があります。(以下、抜粋)

【基本的な留意事項】
(3)処遇
障害者個々人の能力の向上や職務遂行の状況を適切に把握し、適性や希望等も勘案した上で、その能力に応じ、キャリア形成にも配慮した適正な処遇に努める。

雇用は義務ですが、それは目的ではなく手段です。

あくまで雇用の機会を提供し、その方の人生を支援する姿勢が求められます。

これについては、障害者雇用の支援のプロフェッショナルの一人にジョブコーチと呼ばれる方がいますので、活用することをお勧めします。

脊尾 大雅

社労士

秋葉原社会保険労務士事務所 代表 >>HPはこちら

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