障害者雇用の義務…法律・人数・罰金・報奨金を社労士が分かりやすく解説

障害者雇用に関する法律とは?

よく私たちが耳にする「障害者雇用」というのは、障害者を雇用することそのものを指すのではなく、法律に基づいて雇用することを意味している場合が多いです。

障害者雇用促進法という法律があり、その中に以下のような条文があります。

(一般事業主の雇用義務等)

第四十三条 事業主(中略)は、厚生労働省令で定める雇用関係の変動がある場合には、その雇用する対象障害者である労働者の数が、その雇用する労働者の数に障害者雇用率を乗じて得た数(中略)以上であるようにしなければならない。

この条文にあるように、厚生労働省が企業に対して一定の割合で障害のある方を雇用することを義務づけているものを「障害者雇用」と言っています。

【関連記事】

>>障害者雇用の法定雇用率の計算方法・端数・障害者雇用納付金は?社労士が解説

法定雇用率・雇用人数とは?

この法律においては、5年ごとに障害者雇用率が見直されており、執筆時点(2018年4月1日~2023年3月31日)では、民間企業では2.2%とされています(公的機関はこの率より0.2~0.3%高い数値目標が設定されています)。ただし、3年を超えない範囲で2.3%になります。

全従業員の中の2.3%を障害者の雇用をすることを義務づけているものですので、概ね従業員が43人~44人くらいで1名の障害者を雇用することになっています。

なお、2.2%であれば44人~45人くらいです。

(一般事業主の雇用義務等)

第四十三条

2 (略)障害者雇用率は、労働者(中略)の総数に対する対象障害者である労働者総数の割合を基準として設定するものとし、少なくとも五年ごとに、当該割合の推移を勘案して政令で定める。

上記のように、率が決まっていることから、当然のことながら規模が大きい会社の方が雇用する数は多くなります。

しかし、実際は法定雇用率を満たしていない会社も非常に多いのが現状です。

平成 29 年 障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)によると、実雇用率は、6年連続で過去最高の1.97%(前年は1.92%)、法定雇用率達成企業の割合は50.0%(同48.8%)でした。

昨年度までは法定雇用率は2.0%だったので、今年は0.2ポイント上昇しているため満たしていない企業がさらに増えることが想定されます。

障害者雇用納付金制度について

もし、法定雇用率を達成できなかった場合は、納付金を支払うことになります。

常時雇用している労働者数が100人を超える障害者雇用率(2.2%)未達成の事業主は、法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて、1人につき月額50,000円の障害者雇用納付金を納付しなければならないこととされています。

なお、常時雇用している労働者数が100人を超え200人以下の事業主については、2015年4月1日から2020年3月31日まで障害者雇用納付金の減額特例(不足する障害者1人につき月額50,000円を40,000円に減額)が適用されます。

そして、労働者数100人未満の会社は当面納付金の徴収はされないこととなっています。

一方で、法定雇用率を超えて雇用した場合には、調整金・報奨金がもらえる制度もあります。

常時雇用している労働者数が100人を超える事業主で障害者雇用率(2.2%)を超えて障害者を雇用している場合は、その超えて雇用している障害者数に応じて1人につき月額27,000円の障害者雇用調整金が支給されます。

常時雇用している労働者数が100人以下の事業主で、各月の雇用障害者数の年度間合計数が一定数(各月の常時雇用している労働者数の4%の年度間合計数又は72人のいずれか多い数)を超えて障害者を雇用している場合は、その一定数を超えて雇用している障害者の人数に21,000円を乗じて得た額の報奨金が支給されます。

【引用・参考】独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構

達成しているかどうかは、毎年6月1日時点での雇用者数をハローワークに報告することになっています。

通称「ロクイチ報告」と言われるものです。この報告をすることによって、公的機関が把握をし、前述したような納付金等の制度につながるという流れです。

未達成企業に対する企業名公表について

また、法定雇用率を満たさないことで金銭的な負担を負うだけではなく、会社名が公表されます。

実際に雇用率を満たしていない企業に対しては、管轄機関から障害者雇入れ計画作成命令が出て、その後計画を実施します。

雇用状況の改善が特に遅れている企業に対しては、公表を前提とした特別指導を実施し、最終的な改善がなされない場合は公表されます。

企業名はインターネットで公開され誰でも見ることができます。その資料は長らくインターネット上に存在するため、企業のイメージにも関わる可能性が高いです。

さいごに

障害者雇用を推進するのは何のためでしょうか?

法律で求められているから、CSR対策として、社会的意義としてなど、様々な理由があると思います。

これまでの取り組みでご苦労なさっている会社は、なかなかもっと踏み込んだ対応をすることができないかもしれません。

しかし、現在日本では障害者雇用をサポートする事業を営んでいる会社が増えてきました。

その方々の力を借りることで障害者雇用が促進されるかもしれません。

ぜひともそのような専門家の力を借りることも検討してみてください。

障害者雇用はマイナス側面だけではないと思います。ぜひ一緒に取り組んでいきましょう。

脊尾 大雅

社労士

秋葉原社会保険労務士事務所 代表 >>HPはこちら

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