新卒の離職率の推移・平均・離職理由は?キャリアコンサルタントが解説

新入社員が毎年のように離職していくため定着率が上がらず、慢性的な人材不足に陥っている企業を少なからず見かけます。

近年、新卒者を取り巻く環境は毎年目まぐるしく変化していますが、いわゆる「売り手市場」と呼ばれる状態は続いています。

良い人材は他社との取り合いになり、内定を出しても辞退されてしまうケースも増えています。

せっかく苦労して採用した人材には、なんとしても定着してもらいたいですよね?

ここでは、新卒者の離職の現状とその理由についてご紹介したいと思います。

新卒の離職率の推移

「最近の若者はすぐやめる…」

「昔の人はもっと我慢していた」

「時代が変わったな…」

という声をよく耳にしますが、実際はどうなのでしょうか?

厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」によると、平成26年に入社した新卒者の3年後離職率は以下の通りです。

中学卒:67.7%(1年目:45.4%、2年目:14.4%、3年目:7.9%)

高等学校:40.8%(1年目:19.5%、2年目12.0%、3年目9.3%)

大学:32.2%(1年目:12.3%、2年目:10.6%、3年目:9.4%)

長年、新卒者の3年後離職率は「中卒7割・高卒5割・大卒3割」の「七五三」と言われてきましたが、平成17年〜26年の10年間での推移は以下のようになります。

新卒者の3年後離職率の推移(入社年度別:平成)
17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年
中卒 66.7% 67.3% 65.0% 64.7% 64.2% 62.1% 64.8% 65.3% 63.7% 67.7%
高卒 47.9% 44.4% 40.4% 37.6% 35.7% 39.2% 39.6% 40.0% 40.9% 40.8%
大卒 35.9% 34.2% 31.1% 30.0% 28.8% 31.0% 32.4% 32.3% 31.9% 32.2%

 

高等学校が約10%下がっているほかは中学校、大学とも大きな変化はありません。

現状では「七五三」⇒「七四三」のようです。

ちなみに、平成6年入社の3年後離職率は、「中卒:67.6%」「高卒:43.2%」「大卒32.0%」であるので、20年スパンで見ても離職率に大きな変化がないのがわかります。

つまり、「昔と比較し離職率が上がった」という数的な根拠はないのです。

平均的な離職率とは?

離職率は企業によって様々ですが、平均的な離職率は業種によって大きく異なります。

下の表のとおり、宿泊・飲食業で50%、小売業で38.6%サービス業で高い傾向にあり、最も低いインフラ関係(電機・ガス・水道など)と比較すると4倍~5倍の開きがあります。

業種別
建設業 30.5%
製造業 27.0%
インフラ関係 9.7%
情報通信業 26.6%
運輸・郵便業 26.8%
卸売業 29.2%
小売業 38.6%
金融・保険業 21.8%
宿泊・飲食業 50.2%
生活・娯楽 30.5%
教育・学習 30.5%
医療・福祉 30.5%

 

次に事業規模別では下記の表となります。

従業員数が少なければ少ないほど離職率が高いのは分母の違いの他、福利厚生面や教育制度が事業規模と比例して充実する点などが挙げられます。

事業規模別
5人以下 59.1%
5~29人 50.2%
30~99人 38.8%
100~499人 31.9%
500~999人 29.8%
1000人以上 24.3%

 

業界・事業規模ごとの平均離職率を参考に、自社の離職率が高いか低いかを考えるとよいでしょう。

なぜ新卒者は離職するのか

大卒に限らず、入社後最も離職率が高いのは圧倒的に1年目となります。

長くつらい就職活動を経てようやく内定を勝ち取り、意気揚々と入社してきたはずの新卒社員が、なぜ1年もたたずに仕事を辞めるという決断に至るのでしょうか?

その理由を見ていきたいと思います。

厚生労働省の若者雇用実態調査の概況では、新卒者の離職理由を下記のように類型化しています。

・労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった・・・22.2%

・人間関係がよくなかった・・・19.6%

・仕事が自分に合わない・・・18.8%

これを企業側に置き換えると、下記の原因に分けることができます。

待遇面の問題

残業時間、休日、給与

職場の人間関係の問題

パワハラ・セクハラ、上司がいつも機嫌が悪いなど

評価制度の問題

属人的で気まぐれな評価、不公平感

事業の安定性の問題

賞与が不安定、社内が高齢化しており昇進できるポストが空かない

ミスマッチ

明確な採用基準がなく存じてきな採用、辞退者多数のため多めに採用を行っている

 

5つの原因はそれ単独でも離職の理由となることもありますが、離職率が高い企業はこれら複数の原因が重なって存在している場合が多くみられます。

まとめ

新卒者の3年後離職率は20年前からほぼ変わっていませんが、売り手市場と言われ優秀な人材の確保が困難な状況の中、企業の技術を継承しノウハウを蓄積していくために必要な人材を育成することはとても難しくなってきています。

しかしながら、「即戦力採用」「欠員補充」「青田買い」など対症療法的な施策のみにいつまでも頼っていては、いつまでたっても慢性的な人材不足から脱却することはありません。

離職率改善のスキーム

・自社の新卒3年後離職率を業界・事業規模の平均と照らし合わせ、現状を把握する

・中長期的な事業展開を考慮し、定着率(3年後離職率)の目標を設定する

・自社の離職原因、課題を見つける

・対因療法的な対策を講じる

※筆者はCAPDO(チェック・アクション・プラン・ドゥ)サイクルのほうが継続的な取り組みには向いていると考えていますが、PDCAサイクルに置き換えることもできます。
自社にあったスキームで実施することをお勧めします。

植前 健太郎

産業カウンセラー 国家資格キャリアコンサルタント

飲食・流通業界出身。企業・自治体・学校と幅広い領域にてキャリアサポートを行う。

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