3年後離職率の計算・調べ方とは?10%は高い?キャリアコンサルタントが解説

自社の離職率に関心がある経営者、人事担当者の方は多いと思います。

人材に問題を抱えていると生産性やモラルの低下が起こり、中期計画の推進に支障をきたしてしまいます。

なにより、せっかく採用・教育した大切な人材が、不本意な形で離職してしまうことは悲しいことだと思います。

しかし、会社を運営していると「離職」は避けて通れないものです。

ある程度の離職は仕方ないので、これ以上、離職率が高くならないように管理することも大切ですよね。

そこで今回は、離職率の計算・調べ方や目安についてご紹介していきます。

そもそも離職率とは?

では、この管理すべき「離職率」とは何なのでしょうか?

「離職率」という言葉の意味を聞かれると「離職した人の割合」と考えていませんでしょうか?

それももちろん間違いではありません。

では「3年後離職率」はどうでしょうか?

「3年間で離職した人の割合」という答えも間違いではありせん。

となると「離職率」×3=「3年後離職率」という式が成立しそうですが、実はそうではありません。

冒頭をややこしくしてしまいましたが、今回は混同しがちな「離職率」「3年離職率」の計算式と、その考え方について解説していきます。

離職率の計算方法

実は「離職率」には法の定義はなく、中小企業庁と厚生労働省では、異なる数字を発表しています。

これは両者が離職率を計上する期間の違い(中企庁:3年、厚労省:1年)が主な原因です。

しかしながら、一般的に離職率を検証するときは次のような計算式が用いられます。

離職率 = 起算日から1年間の離職者数 ÷ 起算日の常用労働者数 × 100%

つまり、 4月1日に年度が切り替わる企業であれば、4月1日の常用労働者数が分母となり、翌3月31日までの離職者数が分子となります。

計算式の例

平成29年4月1日時点で100名の常用労働者、平成30年3月31日までに10名離職の場合

離職者数「10名」 ÷ 起算日「100名」 × 100% = 10%

注意:「離職率」は、起算日を変更、期間を変更するなどして操作する事が出来ます。

常に一定の起算日、期間で計算し、正しい離職率を把握することが離職率管理の第1歩です。

3年後離職率の計算方法

一方、3年後離職率は次のような定義となります。

3年後離職率 = 起算日に入社した社員のうち3年間の離職者数 ÷ 起算日に入社した社員数 × 100%

こちらは、同期の新入社員数が分母となり、そのうち3年間に何名離職したのかを調べる事が出来ます。

決して1年間の離職率×3ではないことをご理解ください。

計算式の例

平成27年4月1日入社の新入社員50名、3年間で離職した数20名の場合

離職者数「20名」÷ 起算日の新入社員「50名」× 100% = 40%

「3年後離職率」は「離職率」と違い操作することが難しい指標です。

離職率10%は高い?低い?

離職率や3年後離職率をはじき出したら、その数字が何を意味するのか検証する必要があります。

数字に問題があればその原因を特定し対策を打つことで、離職率だけでなく自社の様々な問題の改善にもつながります。

一般的には、年間離職率12%、3年後離職率30%が平均値であり、それを超えたら要注意ともいわれています。

実際はそれぞれ何%以上になれば問題があるととらえるべきなのでしょうか?

事例

建設業を営むA社は社員数100名の企業で、平成29年4月1日を起算日とした年間の離職者数は10名でした。

また、平成27年4月入社の新入社員は20名のうち3年後までに2名が離職しました。

前述の式で計算すると、

【離職率】

離職者数「10名」÷ 起算日「100名」× 100% = 10%

【3年後離職率】

離職者数「2名」÷ 起算日の新入社員「20名」× 100% = 10%

A社の離職率、3年後離職率は奇しくも同じ数字となりました。

一見、年間離職率は平均よりやや低く、3年後離職率は平均の1/3程度であることから全く問題ないように見えますが、比較対象を「建設業」とすると以下のようになります。

「建設業の平均離職率」(平成 28 年雇用動向調査結果の概況)

・年間離職率 7.7%

・3年後離職率 30.5%

つまりA社は平成27年度入社の新入社員の3年後離職率は業界平均を大きく下回っているため問題ないと言えますが、年間の離職率では業界平均を上回っています。

さらに詳しく見ていくと、平成27年度入社の新入社員で離職した2名は、いずれも平成29年度中に離職したことがわかりました。

このような調査結果から、A社は少なくとも平成29年度に関しては何らかの検証すべき点があることがわかりました。

まとめ

離職率、3年後離職率の計算方法とその考え方について解説しましたが、離職率が高いこと=「絶対的な悪」とは言い切れません。

離職が職場の雰囲気や社の生産性に与える影響は当然考えられますが、その特性からある程度の社員の入れ替えが必要な業界や職種もあります。

とはいえ、離職率、3年後離職率が業界の平均と比較してあまりに乖離があった場合はその原因を特定する必要があるでしょう。

自社の離職率を毎年同じ基準で計算し、その推移に関心を持って関わっていくことが、本当の意味での離職率対策だと言えると思います。

植前 健太郎

産業カウンセラー 国家資格キャリアコンサルタント

飲食・流通業界出身。企業・自治体・学校と幅広い領域にてキャリアサポートを行う。

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