【社労士解説】障害者雇用まとめ〜法定雇用率・メリットデメリット・助成金〜

障害者雇用について

日本では企業に対して、従業員が45.5人以上いた場合に法律上雇用しなければならないという義務を課しています。

これをいわゆる「障害者雇用」と言っています。

障害があるかないかは、身体障害者手帳、療育手帳(知的障害)、精神障害者保健福祉手帳という3つの手帳のいずれかを所持しているかどうかです。

ですから、病気や障害があったとしても、手帳を所持していない場合は法律上の雇用義務がある障害者雇用に該当はしません。

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法定雇用率・雇用人数とは?

この法律においては、5年ごとに障害者雇用率が見直されており、執筆時点(2018年4月1日~2023年3月31日)では、民間企業では2.2%とされています(公的機関はこの率より0.2~0.3%高い数値目標が設定されています)。ただし、3年を超えない範囲で2.3%になります。

全従業員の中の2.3%を障害者の雇用をすることを義務づけているものですので、概ね従業員が43人~44人くらいで1名の障害者を雇用することになっています。

なお、2.2%であれば44人~45人くらいです。

しかし、実際は法定雇用率を満たしていない会社も非常に多いのが現状です。

平成 29 年 障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)によると、実雇用率は、6年連続で過去最高の1.97%(前年は1.92%)、法定雇用率達成企業の割合は50.0%(同48.8%)でした。

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法定雇用率の計算方法

そもそも法定雇用率はどのように設定されるかというと、以下のような計算式で国が計算します。

【引用元】障害者雇用率制度の概要 厚生労働省

このような計算の上、現在は2.2%(3年以内に2.3%)という設定がされています。

そして、企業は障害者雇用率制度においては、以下の条件を満たす方を雇用することで法定雇用率を満たします。

・身体障害者手帳を所持している。
・療育手帳を所持している。
・精神障害者保健福祉手帳を所持している。

これらの方々を、通常週30時間以上の時間で雇用した場合にカウントします。

しかし、重度かそうではないか、また勤務時間によってカウントされる数が変わります。

具体的には以下の通りです。

①重度身体障害者もしくは重度知的障害者については1名を2名として計算する。
②短時間労働者の重度身体障害者、重度知的障害者は1名として計算する。
③短時間労働者の精神障害者については0.5人として計算する。

このように、状態や雇用形態によってカウントが違いますが、いずれにしても法定雇用率を満たすことが会社の義務になります。

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障害者雇用のメリットデメリット

障害者雇用の敷居が少し高くなる原因の一つが「定着がしづらい」ということでしょうか。

精神障害を中心に整理してみたいと思います。

離職の個人的な要因として一番多いのが、

「職場の雰囲気・人間関係」

次いで「賃金、労働条件」、「疲れやすく体力、意欲が続かなかった」、「仕事が合わない」などが挙げられます。

会社としては、サポートや接し方の難しさ、離職をされてしまうことを考えると躊躇してしまうことも多いように思います。

しかし、メリットもあると思います。

すでに日本では好事例がたくさん出ています。

独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構において、毎年度各企業の取り組みから最優秀賞、優秀賞などを発表しています。

ある会社では、障害者の方の仕事をつくりだすことで、障害のある社員それぞれに適した仕事による職務創出につながって、販売担当者の負担が軽減したことにより、販売の効率性が向上したという事例も出ています。

私としては、直接的なメリットだけではなく、間接的なメリットもあると思っています。

例えば障害者雇用を促進することで、サポート体制を構築するわけですから、それはメンタルヘルス不調のサポートに応用できます。

そして、サポートをするムードが醸成されることで、社内の雰囲気が良くなることもあるのではないでしょうか。色々と副次的な効果はあると思っています。

事例としてのメリットや効果は以下のホームページからもご覧いただけますので、ぜひご覧ください。

【引用】独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構ホームページ

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助成金の流れ

ここでご紹介する障害者雇用に関係する助成金とは、厚生労働省管轄のもので雇用保険法かかる助成金を指します。

助成金で得たお金は使途は自由で、返済も不要です。

障害者雇用に関連する助成金はさまざまありますが、ここでは比較的受給を検討することが多いと思われるものについて話を進めてみましょう。

障害者雇用安定助成金

この助成金では、次の7つの決められた措置の中から実施した場合に支給されるものです。

※措置7については1~6と組み合わせて実施しなければなりません。単体での実施では不十分です。

【引用元】厚生労働省 障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)ご案内

例えば、従業員が心身の不調によって休職を余儀なくされた場合、職場復帰に必要な仕組みを設けるとします。(措置5)

復帰後に外部から職場支援員としてジョブコーチとの契約をします。(措置4)

合わせて社内でのサポートの仕方や接し方について、そのジョブコーチから講習を受けます。(措置7)

従業員の方が障害を負ったことを契機にして、社内の体制を整えるのであれば、このように、助成金を使って行うことができます。

ちなみに上記3つの措置を実施した場合の合計助成金額は、最大で192万円です。(措置7は講習に要した経費によって変動します)

計画の届出

支給までの流れは、最初の措置を開始する日の前日から起算して1ヶ月前まで計画を届出ます。

計画の届出は、会社の管轄のハローワークです。

計画には、7つの措置のうち一番最初に実施する措置についての具体的な日付の記載が必要です。

支給申請

措置実施後に一定期間を経過した場合、支給申請を行います。

支給は6カ月を1期として支給申請をします。

支給申請は、各計画期間中の最初にくる支給対象期分の賃金を支給した日の翌日から2ヶ月以内です。

あらかじめ支給申請書を用意しておくのも良いかもしれません。

助成金の使途

そして、支給決定がなされた後は助成金が振り込まれますが、冒頭にもお伝えしましたが使途は自由です。

従業員の賃金の原資に使ったり、教育や設備投資にするなど様々です。

事業計画に沿って必要なことに使うことをお勧めします。

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>>障害者雇用、8つ助成金とは?助成金受給の流れを社労士が解説

ストレスチェック制度の活用のススメ

ストレスチェック制度はキャリア支援の側面があると考えます。

毎年一回、自分の心身の状態をチェックしつつ、それによって自分がどういう方向性に進みたいのかを検討する。

そしてそれが満足いく形を目指し、社会にとって有益な形になればなお良い、という流れです。

ストレスチェックにおける質問項目は、まさにその時点で自分が置かれている状況や気持ちを表すものですから、うってつけの機会です。

病気のある方がストレスチェック制度を通じて自分の人生を考えるのも当然の流れです。

1.現時点でやれること、やれないことを知る

2.やりたいこと、ありたい自分を知る

3.そのために何をしたら良いのかを考える、またはそのための技術を学ぶ

などができれば、その人は自己の人生に満足感を得やすいのではないでしょうか。

この流れに病気や障害は関係ありません。

障害や疾病の特性上配慮が必要かもしれませんが、それはあくまでサブとしての関わりです。

メインは「自身がどのように生きていくか」を考えることです。

会社をそれを肯定的な態度で支援をすれば良いのです。

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>>障害者雇用と働き方改革…治療と職業生活の両立支援の要点とは?

脊尾 大雅

社労士

秋葉原社会保険労務士事務所 代表 >>HPはこちら

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