従業員満足度と顧客満足度は相関する?しない?2つの事例で解説

近年では「従業員満足度と顧客満足度は表裏一体」「顧客満足度を上げるにはまず従業員満足度から」などと言われることが多くなりましたが実際はどうなのでしょうか?

顧客満足度が利益に直結するという考え方は国内でも浸透していますが、従業員満足度を上げたために、生産性が下がり、利益が下がってしまうのではないかと考えている経営者もまだまだ多いと感じます。

そこで今回は、従業員満足度と顧客満足度の関係について解説していきたいと思ます。

従業員満足度、3つのポイント

従業員満足度と顧客満足度の相関を考えるときに、よく勘違いされていることがあります。

それは、給与や待遇面の改善が従業員のやる気につながり、顧客へのサービス向上につながるであろうという考え方です。

「従業員の職場での満足度を上げるためには動機付け(満足)要因を上げることが重要だ」

と説いた「動機付け・衛生理論(2要因理論)」は1959年にアメリカのフレデリック・ハーズバーグにより提唱されました。

これによると、給与・待遇などは職場環境と同様に「衛生(不満足)要因」となり、いくら改善しても満足にはつながらず、

・達成感

・責任感

・承認される

など、「動機付け(満足)要因」が加わった時に初めて満足感を得られるというものです。

アメリカ国内では早くから従業員のモチベーション管理としてこの理論を取り入れており、今日の従業員満足度(ES:employee satisfaction)の理論的基盤となっています。

顧客満足度について

一方、顧客満足度(CS:customer satisfaction)もまた1980年代のアメリカで提唱された概念です。

この概念は、生産性や効率を多少犠牲にしてでも消費者の要望・嗜好を商品・サービスに反映させたほうが、結果的には利益につながるという考え方で、現在の顧客関係管理(CRM)の基盤となっています。

日本では?

わが国では、1991年に日本能率協会研究所が顧客満足度(CS)調査を初めて実施しました。

バブル崩壊後、多くの企業が生産性第一の経営方針を改め、消費者のニーズに対応したサービス提供を考えるようになりましたが、従業員満足度の重要性を考えられるようになったのは2000年代に入ってからです。

いずれもアメリカ発祥の概念ですが、わが国ではバブル期という特殊な環境が影響してか、導入時期や推移においてグローバルスタンダードと異なる点があるように思えます。

三方よし

「三方よし」とは「売り手よし・買い手よし・世間よし」のことで、近江商人の間で古くから伝わっている心得です。

ここでいう「売り手」とは商人自身、「買い手」は顧客、「世間」は文字通り社会経済のことを指します。

また「CSR」や「アフターサービス」などの重要性が書かれた十訓というものもあり、伊藤忠商事をはじめ多くの企業の経営理念に大きな影響を与えています。

現在では「三方よし」に複数のとらえ方があります。

代表的なものは「売り手=企業」「買い手=顧客」「世間=CSR」とするもので、企業が社会的貢献を果たしていかなければならないというCSRの考え方につながっています。

次に「売り手=従業員満足度」「買い手=顧客満足度」「世間=利益」とするもので、従業員満足度と顧客満足度の相関関係が利益を生み出すという考え方の基盤となっています。

従業員満足度と顧客満足度の相関は?

それでは、従業員満足度と顧客満足度の相関関係を事例で見ていきましょう。

「The customer is always right」リッツカールトン

リッツカールトンホテルでは従業員に一日2000ドルの決裁権を与え、サービスにおいてそれぞれが必要と感じた時に使用できることは有名な話です。

2000ドルの使い道は「忘れ物の重要な書類を届けるための航空券代」「サプライズプレゼント」など様々ですが、サービスを受けた顧客は大きな感動と満足感を得たことでしょう。

また、多額の決裁権は従業員にとって大きなやりがいです。

さらに「濫用してはいけない」という責任感も醸成され、業務における満足要因(動機付け要因)としてモチベーション管理につながっていることは間違いありません。

「グリーンエプロンブック」スターバックスコーヒージャパン

大手コーヒーチェーンのスターバックスには接客のマニュアルの代わりに「グリーンエプロンブック」というものが存在します。

グリーンエプロンブックには「歓迎する」「思いやりを持つ」などサービスに必要な5つのキーワードが書かれており、新人教育などに活用されるほか、日々の接客はすべてがこのキーワードに基づき、一人一人が考えて行動することが求められています。

また、グリーンエプロンブックはスタッフの相互評価ツールとしても使用されています。

良い接客をしていたり成長が感じられたスタッフには、5つキーワードが書かれたグリーンエプロンブックカードをコメント付きで渡し、カードを5枚もらったスタッフは店舗から表彰を受けるという制度もあります。

実際に、この表彰がモチベーションとなっているスタッフも多いようです。

動機付け要因として従業員満足度に貢献していることは勿論のこと、マニュアルにとらわれずに顧客のために何をすべきかを考えて接客することで、顧客満足度向上にもつながっているといえます。

まとめ

先に述べた通り、従業員満足度は衛生(不満足)要因を取り除くだけではなく、満足(動機付け)要因を追加することで向上します。

また、顧客満足度は期待値以上のサービスを享受したときに向上します。

事例はいずれもサービス業における取組ですが、従業員の自立・自律を促し、同時に顧客のために自分で考えてサービスを提供するという点ではすべての業界に通じるものがあるのではないでしょうか?

植前 健太郎

産業カウンセラー 国家資格キャリアコンサルタント

飲食・流通業界出身。企業・自治体・学校と幅広い領域にてキャリアサポートを行う。

オフィスひいらぎキャリアサポート >>HPはこちら

すぐ実践できる!
人事ノウハウ集をプレゼント

【無料】人材採用・育成・組織強化ガイドブック

「知名度がなくても、採用は成功できる」をキーワードに実践してきた、約300社での人事コンサルティングでのノウハウを1つの小冊子にまとめました。
(全59ページ)

【内容 ※一部抜粋】
・最高の採用につなげるための会社基盤の整え方
・会社認知度を上げて人材を集めるには
・真の人材を見抜く3つのポイント
・離職原因を分析し、採用ミスマッチを防ぐには

関連記事

こちらもおすすめ

  1. 19.01.18
    従業員満足度が高い世界の企業ランキングTOP10!日本企業は? 従業員満足度

  2. 19.01.11
    従業員満足度が高い日本企業10選!共通点や業績との関連は? 従業員満足度

  3. 19.01.22
    【中小企業向け】従業員満足度アンケートの3大要素・質問例・指標とは? 従業員満足度

  4. 19.01.10
    低コストで従業員満足度を高める取り組み事例5選!【中小企業向け】 従業員満足度

Menu