パワハラ対策!企業が導入すべき5つの予防策と対処法を社労士が解説

「パワハラ」とネットで検索すると、精神疾患になった体験談や、発生防止策、加害者に仕返しをするためのノウハウ、証拠集めの方法など1,200万件もの情報が瞬時に表示されます。

パワハラが社会問題になりつつある現在、企業としても何らかの措置を講じる必要性が高くなってきています。

そこで、今回のコラムでは、企業が導入すべき、5つの予防策と対処法をご案内していきます。

企業が導入すべき、5つの予防策と対処法

1.組織トップの決意と表明(これがないとはじまらない)

2.社内アンケート調査(こんな結果になるなんて・・・)

3.相談窓口の設置(対処の一歩)

4.研修(中身がないのは混乱のもと)

5.就業規則による懲戒規程(〆はこれ!)

これら5つの措置が相乗効果を発揮するので、予防と対処の両面を備えるものもありますが、概ね予防策として①②を行い、起きてしまった場合の対処としては、③④⑤になります。

組織トップの決意と表明(これがないと始まらない)

厚生労働省の調査によると、パワハラ対策が重要であると考えている企業は82.1%にのぼります。

その一方で、具体的対応をしている企業は52.2%にとどまり、特に従業員99名以下の企業では26%の企業しか具体的対応をしていない、という結果があります。

企業が対応をしていない理由として、「対応方法がわからない・必要性を感じない」、あるいは経営者やベテラン社員が加害者になっているようなケースで、対応できない等の理由が考えられます。

しかし、前者の場合、今後はいかがでしょうか?

パワハラが発生しているのに、その声が上がってきていないだけということはありませんでしょうか?

また、後者の場合は社内に危険因子を放置しているにすぎません。

パワハラ発生は企業にとってリスクであり、企業防衛という観点から、「パワハラを許さない」という組織トップの決意とその表明が先ずは必要になります。

トップが加害者になっている場合でも考え方は同じです。ただし、パワハラが経営課題だと認識いただく方法を先に対処する必要があります。)

社内アンケート調査(こんな結果になるなんて)

パワハラについて、社内アンケート調査を実施すると、会社にとって想定外の結果が出るかもしれません。

しかし、社内でアンケートは有益な情報をもたらします。

発生の有無、発生原因は加害者の個人的資質か、それとも長時間労働等の組織的な問題があるのか、等々の情報を得ることができます。

アンケートを通じて課題が見えれば、ピンポイントで対処策を打つことが可能になっていきます。

なお、アンケートは匿名で実施し、個人が特定できる方法は避けた方が賢明です。

匿名だからこそ本音の情報を取得でき、その情報が問題解決のために役立っていきます。

また、匿名であっても、社内でパワハラアンケートを実施すると、自分が他の社員から加害者だと指摘されたくない心理が働き、行為を控える人が出てきます。

アンケート自体にパワハラの防止効果があることの一面です。

定期的に実施すると更に効果が高まるでしょう。

相談窓口の設置(対処の一歩)

パワハラに対して対策をしている企業のうち、従業員1,000人以上を雇用している企業では98%が相談窓口を設置していますが、99人以下の企業では44%と大きな差があります。

また、被害を受けた40.9%の方は声をあげずに何もしなかった、という調査もあります。

これらの結果は、具体的な対処が手薄になっており、埋もれている被害が多いことの裏返しであることが読み取れます。

相談窓口の3つの機能

被害にあった人は信頼できる誰かに相談したい、力になってほしいと感じています。まさに対処の第一歩として機能する必要があります。ここで満足な対応がないと感じると、行政機関や社外組合へ相談窓口を変えていきます。
ハラスメント行為の事実確認を行います。該当する場合は、人事部と連携して就業規則に沿った制裁をすることで、社内秩序維持につながります。
自分が相談窓口に加害者として申告されるのは嫌なものです。相談窓口の設置は、匿名の社内アンケートよりもさらに強い抑止力、予防策となります。

なお、社内に窓口を設置できない状況もあるかと思います。そのような場合は外部(社会保険労務士等)に委託する方法もあります。

研修(中身がないのと混乱のもと)

組織トップの決意と表明、アンケート実施、相談窓口を設置したところ、

・何でもかんでもパワハラと騒ぎになり収集がつかない

・上司はパワハラと言われたくないので指導が甘くなる

といったような事態も想定されます。

セクハラとは異なり、明確なパワハラの法令定義はありませんが、厚生労働省の定義や判例を通じて、一定のガイドラインは構築されています。

そこで研修を実施して、パワハラとされる具体的な例、そしてリスクを正しい情報として社員に案内する必要があります。

上司から部下に対して発生しているパワハラのケースが一番多いことを考えると、まずは管理職が研修の対象になります。

具体的なパワハラ行為を学ぶことで、これまでの自分の行為や発言が実はパワハラであったという新たな気づきを与えることが可能です。

また、一般社員に対する研修も必要です。

度を越した指導・叱責は許されませんが、職務遂行の為には必要な指導があります。しかし世代や育った環境から、他人から厳しく指導されることに慣れておらず「ハラスメント!」と言い出す社員もいます。

パワハラという言葉で社内が混乱しないためには、研修で以下の内容を伝えることが必要です。

・指導とパワハラの違いを具体例によって理解してもらうこと

・自分の言動がパワハラになっていないかチェックすること

・パワハラを受けた、見た場合の対処方法を伝えること

就業規則(〆はこれ!)

就業規則策定は、社会保険労務士にとって重要な仕事の一つでもあり、ネットを検索すれば、その重要性を説く情報が沢山ヒットし、「不測の事態」に備え準備するべきもの、とまとめられるケースが多いです。

一方、経営者にとってみれば、就業規則は毎日読むものではないし、不測の事態は頻繁に発生するものではないので、重要性は高くないと判断されているケースもあるかと思います。

しかし、パワハラ対処の観点からみると、場合によっては社員の処罰、解雇まで視野に入れなければならないため、根拠がある対応をするために就業規則は非常に重要です。

ネット上で公表されている就業規則をそのまま利用されているケースもよくみかけますが、ひな型には懲戒処分や解雇理由に関する記載に注意を払っていないものが多いです。

このような場合、パワハラを起こした社員に対して、根拠ある処罰をできず、その処分は無効であるとの主張を展開させてしまうことさえあるので注意が必要です。

まとめ

パワハラは人間関係やコミュニケーション方法に発生原因がある以上、どこの組織でも発生しえます。

今回ご紹介した、5つの予防策と対処法はそれぞれが相互に影響を与え効果を生み出すものです。

組織トップの決意と表明は社員に安心感をあたえ、アンケートや相談窓口設置は具体的な行動としてトップの意志を裏付けます。

研修実施は正しい情報を伝えることで防止と対処の要になり、それでも発生する場合は、加害者に対して就業規則に沿って制裁を科すという流れで対応を進めます。

なお、企業規模によっては5つ全てに対応できないケースもあるかもしれませんが、外部機関等を活用することも方法の一つですのでご検討ください。

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吉村和也

社労士

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