パワハラ対策の導入マニュアル!5つの手順を社労士が解説

パワハラが発生した場合、対策の導入マニュアルはしっかり用意していますでしょうか?

パワハラ相談を受けても放置していたり、あるいはパワハラの行為者とされた人物は普段から好ましくない噂が絶えないので、「これをきっかけに解雇してしまえ」などという対応は許されるわけもなく、騒ぎが大きくなる典型的なパターンです。

今回は、社労士の立場から、厚生労働省のステップも参考にしつつ、実践的立場から導入マニュアル作成のポイントをご紹介していきます。

厚生労働省による6つのステップ

平成28年に厚生労働省からも6つのステップがマニュアルとしてHPに載せられています。

・相談窓口の設置

・相談窓口による一次対応

・事実関係の確認

・行為者・相談者への取るべき措置への検討

・行為者・相談者へのフォローアップ

・再発防止策の検討

パワハラ対策導入マニュアル

【手順1】ヒアリング

社内に相談窓口があればそこで、なければ人事部や上司が、最初に相談を受けることになるケースが多いと思われます。

最初の相談は非常に重要で、ここで相談者が、ある程度納得ができる対応をしないと、不満の気持ちはどんどん高くなります。

ポイントは

秘密厳守であること

相談者は大きな決意で来ています。相談しに来ていることや相談内容を当事者以外に口外することは本人だけでなく、行為者とされる社員にも大きな混乱を与えてしまいます。

不利益な扱いをしないこと

相談しに来たことや、後で述べる事実確認に協力した人に対して不利益な扱いをしないこと。報復と思われるような嫌がらせ行為を行為者や会社がした場合、混乱はさらに広がります。

相談窓口を限定すること

相談を受ける側にもそれ相当の経験と技術が必要です。

全ての管理職がこのような行為を得意としているわけではありませんし、不慣れな人物に相談を持ち掛けた場合、相談者は満足できずに相談相手を広げていく可能性もあります。

普段から窓口となる担当を特定化しておくことが必要です。

傾聴すること

まずは相談者の言い分をしっかり聴いて、記録をとることです。

この後に行為者に事実確認を進めますが、当事者間の主張が合致することはまずありません。主張が一貫しているのか、そうではないのか、その把握が重要です。

また、「あなたにも何か問題があるのでは?」「社内の人間関係がこじれる」といった相談を受ける側の価値観を出すことは慎むべきです。

希望を聞くこと

相談者が何を望んでいるのか、必ず聞くことです。行為を止めて欲しいのか、人事異動を希望しているのか、精神的限界を超えたので会社都合で辞めたいのか等です。

ただし、会社としては就業規則に沿った対応を原則としますので、その希望が必ず叶うわけではないことは必ず伝えてください。

最初の相談の際に「それはパワハラだ、パワハラでない」という議論は行いません。相談者の気持ちを受け止め、和らげることを重視しています

【手順2】事実確認

相談者から事実確認を実施し、その後、速やかに行為者とされる社員や、必要に応じて同僚等にも事実関係を確認することになります。

行為者に対して確認する際には

・事実確認を行っている段階であることを伝える

・相談者からの相談内容を伝える(場合によっては相談者の名前は伏せる)

・相談内容について状況の説明を求める

・以降の相談者とのコミュニケーションでは該当行為をしないように伝える

・パワハラ行為に当たると認定された場合、処罰がある可能性を伝える

※相談内容と今後の流れを丁寧に説明して、相談者が嫌がっている行為を止めさせること、相談者に対する逆恨みにならないように注意することが重要です。

相談者との面談と同じですが、事実確認の中での認定行為は行いません。

【手順3】認定検討

両者の主張を聞いたら、それがパワハラになるのかどうかを社内で検討する必要があります。

身体的攻撃や罵倒等のわかりやすい行動であっても、その行為の何がパワハラにあたると考えるのか、ポイントをまとめる必要があります。

当然、その逆もありパワハラに当たらないと考える場合のポイントも整理する必要があります。

認定検討は面談を担当した者以外に、社内第三者の意見も聞き入れてください。

また、外部相談窓口へアドバイスを求めることも重要です。

社外相談は弁護士でも社労士でも受けられますし、もし費用が気になるのであれば、労基署や労働局なら無料で相談に乗ってくれます。実際に企業から行政への相談も多いのでご安心ください。

認定や処分を決定する際に、誤っていたり抜けていた視点がないかのチェックになります。

【手順4】処分

パワハラの申し出者の言っていることがどうやら事実であり、パワハラ認定をせざるを得ない場合、会社として何らかの処分が必要になります。

この場合、会社が持つ就業規則に沿った処罰を行うことになりますが、同時に行為者とされる人物の言い分は十分に聴いて、釈明の場を必ず設けることも必要です。

なお、世の中には「パワハラ体質」とでもいうべき人物が稀にいます。

処分しても降格等で立場を変えても、しばらくすると同じ行為を繰り返す人物です。

ここまで来てしまう行為者には別の対応が必要になってきます。

【手順5】和解に向けて

パワハラを認定しようとしまいと、当事者間にしこりが残る可能性があることは事実です。

一方、組織の調和を維持するために人間関係の修復は重要です。

会社が和解を仲介するとしても、具体的にできることは限られており、当事者が納得しないこともあります。

しかし、会社として和解の姿勢を持つか持たないか、その意識は会社としての責任を果たしているかの観点や再発防止を進める上でも重要な役割を果たします。

まとめ

実際にパワハラが発生した場合、企業規模によっては人事異動も難しく、当事者が顔を合わせないと仕事をできないこともあります。また企業規模に関係なくその処理には時間もかかります。

さらに、当事者双方が納得しなくて、社外に金銭解決を求めることも十分にあります。

会社としてできることには限界がありますが、発生時にマニュアルに沿って迅速に動かないと混乱が広がります。

このようなことからも、パワハラ対策に関するマニュアル等の事前準備、研修等を通じた予防に時間をかけ、社内の環境を良好にしておく方がはるかに合理的だと思われます。

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吉村和也

社労士

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