【パワハラ事例】NG発言&行為に潜む7つの大罪とは?社労士が解説

パワハラ禁止を直接規制する法律がないため、どのような行為がパワハラに該当するのか迷ってしまうケースもあるかもしれません。

行為者は指導や冗談のつもりでも、受けた方は「そうは思わない」という認識の違いがパワハラの発端になります。

そこで今回は、パワハラ事例として、具体的なNG発言や行為がどのようなものになるのか、「7つの大罪」に例えてご紹介してみます。

※「7つの大罪」はキリスト教の用語で、人間を罪に導く可能性があるとみなされてきた欲望や感情のことを意味しています。相手の気持ちを考えていない指導や冗談は行き過ぎればパワハラになります。

>>【社労士解説】パワハラ問題まとめ〜定義・対策・事例・相談先・訴訟〜

パワハラ版「7つの大罪」とは?

まず、パワハラについて厚生労働省では6つの例を挙げて定義としています。

・身体的攻撃

・精神的な攻撃

・人間関係からの切り離し

・過大な要求

・過小な要求

・個の侵害

これを「7つの大罪」と結びつけ、それぞれ大罪に具体的言動をマッチさせると、以下のようになります。

①憤怒(身体的攻撃:全否定)

怒りを暴力的行為に置き換えるケース。

叩く・殴る・蹴る・ネクタイなどを引っ張る・ガムテープで口をふさぐ・ものを投げつけるなど、身の回りにあるものすべてを武器にしてしまうもの。

昭和の時代には、月末になると予算未達社員に向けて灰皿が飛び交う職場もあったようです。

なお、直接身体に触れなくても、ごみ箱などを蹴りつけて、大きな音を立てる行為も恒常的に行い、傲慢発言を伴っていればパワハラに発展していくものになります。

②傲慢(精神的攻撃:天上天下唯我独尊)

自分の価値観以外は許さないケース。

些細なミスに対して、大声で怒鳴りつけたり、同僚だけでなく取引先の前でも「こいつは無能な奴だ、給与が無駄だ、こいつといると生産性が下がる」と言ってみたり…。

相手を呼びかける際に名前ではなく、「姉ちゃん・ぼうず・婆さん!」と俗称で呼びかけたり、本人だけでなく、その家族や育った環境なども引き合いに出し、

「お前の奥さんは、お前なんかとの生活によく我慢している」

「親がどんな育て方をしたんだ」

といった発言で、相手を精神的に追い詰めていきます。

③暴職(人間関係からの切り離し:暴食)

もとは暴食と表記されていますが、パワハラの場合は「暴職」となる。

飲みの席で延々と続くマンツーマン説教、しかも酔った口調で要点がよくわからない。

やっと終わったと思えば、割り勘。暴職によって貴重な時間と体力と金銭を無駄にさせられる行為。

行為者は酔っているので、憤怒と傲慢が混ざることがある。マンツーマンで行われるため、受けた方は何ともいえない絶望と孤独を感じる。

なお、厚生労働省の定義では、挨拶しても無視したり、根のない噂話を流して孤立させることや業務回覧を回さないなど、職場の人間関係を悪用した行為としているが孤立させる点では同じです。

④強欲(過大な要求:お前のモノは俺のモノ)

量・質共に過大な業務をあたえ、時間と健康を奪うケース。

量においては膨大な資料作成や何倍もの営業目標、質においては遂行にあたり、役職が必要なのにそれを付与せずに行わせる等の行為。

部下を「育てるために・教育的訓練」と言い訳が付いてくることも多いようです。

仮にその業務が達成できると、指示した者が育てたものとして功績が奪われ、次の要求はもっと大きくなっていきます。

また、類似行為で上司や先輩社員が本来は自分で行うべき業務を部下や後輩にさせたり、また個人的な買い物や送迎を命じることもあります。

⑤嫉妬(過小な要求:能ある鷹の爪をもげ)

相手の本来の能力を引き出さず、その発露を妨げる行為。

営業職なのに毎日、シュレッダーによる細断作業しかさせない、事務職に倉庫の片づけを延々と行わせる、就業規則をひたすら手書きで書き写させるなどの行為。

退職勧奨が同時に行われると、「精神と時の部屋」へ異動させ、そこでは何も仕事をさせないという修行的な行為もある。

なお、漫画の設定と異なり、この部屋を出ても強くなることはなく、ただひたすら勤労意欲が落ちる。

⑥色欲(個の侵害:煩悩砲)

個人的な煩悩から相手のプライバシーにどんどん踏み込んでくるケース。

スマホを勝手に操作して、アドレス帳や写真、メールを覗いたり、恋人の有無や結婚、子供のことなど仕事とは直接関係のないことを根掘り葉掘り聞いてくる。

女性がターゲットになることが多く、その場合はセクハラに展開し、性的な言動が行われる。

抗議しても、「それくらいで~」「あなたが魅力的だから」と不快感を理解しないではぐらかされることが多くあります。

⑦怠惰(組織的怠慢:厄役退避)

パワハラの被害を相談されても、

「あなたに何か落ち度があるのでは?」

「今はそうやって鍛えてもらう時期だ」

「(事実確認をしないまま)それはパワハラではない」

等と、騒ぎを大きくしたくないために、相談者の気持ちがおさまるまで放置しておくケース。

風通しがよくない職場で発生しがちで、組織的責任に発展し放置を後悔することも多いようです。

まとめ

パワハラ版「7つの大罪」、すべてNGな発言や行為に発展していく可能性があります。

管理職の方々は自分の言動がパワハラになっていないか、またパワハラに発展していかないかを定期的に見直してください。管理職同士でチェックしあうのもよいかもしれません。

なお、厚生労働省の定義では7つめの「怠惰」に該当するものはありませんが、組織の問題である以上、また裁判例を見ていると、組織の責任を問われているケースがあるので、あえて7番目として入れています。

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吉村和也

社労士

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