働き方改革の背景・概要・ガイドラインとは?社労士が紹介

働き方改革という言葉を聞き慣れてきた人も多いと思います。その一方で、よくわからない漠然としたイメージがある人も多いのではないでしょうか?

また最近も、働き方改革の実行一環として、厚生労働省が国会に提出していた裁量労働制の資料をめぐって安倍総理が苦しい立場になっていたことは記憶に新しいかと思います。

そこで今回は、そもそも働き方改革とは何なのか、その背景や概要、ガイドラインをご紹介していきます。

>>働き方改革まとめ!概要・メリットデメリット・事例【中小企業向け社労士解説】

働き方改革の背景〜急速に進む少子高齢化〜

日本の人口が減少傾向になっていることは広く知れ渡っていますが、同時に総人口に占める15歳から65歳までの生産年齢人口(労働人口)も減少傾向になっています。

(出典)厚生労働省HPから働き方改革の背景に関する参考資料

人口数によって、過去のとの比較はもちろん、将来をある程度、正確に予測することが可能になります。

上記の図から読み取れることは、

・今の生産年齢人口は、戦後間もない1950年とほぼ同じレベルの数

・生産年齢人口は、今後も下がっていくこと

・1950年との最大の相違は、65歳以上の高齢者が非常に増加している

といった点にあります。

年金制度を始めとする社会保障システムの前提は、多数の現役世代による少数の一つ前の世代を支えていくことです。

しかし、その前提が崩れつつあることが明確に予測でき、このまま何ら策を講じなければ、生産年齢人口は更に減少し、経済規模も縮小化、社会システムの維持に大きな障害が出ます。

働き方改革は経済規模の拡大といった側面がもちろんありますが、予測されるこれからの大きな課題に対して、今から策を講じて解決していこうという考えのもとに開始されています。

働き方改革の概要〜働き方改革は暮らし方改革〜

首相官邸HPには「働き方改革の実現」というページがあります。

ここに「働き改革実行計画 本文」が掲載されており、その中に本質を端的に表していると思われる文章がありますので、その一部をご紹介します。

・「日本経済再生に向けて、最大のチャレンジは働き方改革である。『働き方』は『暮らし方』そのものであり、働き方改革は、日本の企業文化、日本人のライフスタイル、日本の働くということに対する考え方そのものに手を付けていく改革である。」
・「一人ひとりの意思や能力、そして置かれた個々の事情に応じた、多様で柔軟な働き方を選択可能とする社会を追求する。働く人の視点に立って、労働制度の抜本改革を行い、企業文化や風土を変えようとするものである。」

人口減少は短期的に解決できるものではありません。

そのため、現在働いている人たちが、長く快適に仕事をできる環境をつくり、さらに多様な働き方を認めていくことで、今までの暮らし方に根付いているルールや慣習では、能力を発揮しきれていなかった女性や高齢者も仕事ができるように、労働環境を変えていこう、と言う考え方です。

そういったことから、「働き方改革」ではなく「暮らし方改革」と言われた方がスッキリと理解し易い面もありそうです。

働き方は3つの課題から全て始まる

日本の労働制度と働き方にある諸問題を解決して労働参加者を増やし、生産性を上げていくためには多くの諸問題があります。

しかし、整理していくと以下の3課題に集約されます。これがさらに細分化されて、9つの検討テーマになり、そして最終的には19個の対策があげられています。

正規社員と非正規社員の不合理な処遇格差解消

いつの間にか、非正規社員が全体の4割を占めるまでになっています。

自らの理由ではなく、社会経済状況によって、非正規社員を続けざるを得ない将来を担う20代、30代の待遇を改善して、日本から「非正規社員」という言葉を無くす、としています。

長時間労働の是正

長時間労働は健康を害するだけでなく、子育てや親の介護といった家庭と仕事の両立を進めていく上でも大きな障害になります。

また仕事にかかる時間が減らせれば、その時間は自身の能力開発や副業にも活用できる可能性があります。

単線型キャリアパス

転職は既に珍しいものではなくなっていますが、それでも一度、何らかの事情で会社を辞めた場合は様々な最初から新しい勤務先でキャリアを再構築していく必要があります。

もっと柔軟な働き方が慣行として根付くことで、新しいキャリアの積み方が生まれる可能性があります。

働き方改革の展開イメージ

(出典)働き方改革実行計画概要のP23より抜粋

働き方改革のガイドラインとは?

働き方改革を進めて行くために、現在の労働法規の改正や、企業慣行を変えていくことが必要です。

そのための基本的な考え方、守るべき目安としていくつかのガイドライン(案も含む)が既に出ていますので紹介していきます。

同一労働同一賃金について

正規、非正規と言った雇用形態に関わらず、説明ができない不合理な待遇格差をなくすような基本給や各種手当の均等均衡待遇を推進するための考え方が出されています。

現在も不合理な待遇格差禁止が法制化されていますが、今後は更に細かくなるようです。

副業

多くの企業は副業が就業規則で禁止していますが、既に厚生労働省からは副業を解禁した場合のモデル就業規則が公開されています。

副業を認めることで、能力開発や企業のイノベーション力をアップさせることを目的としています。

テレワーク

IT機器を活用して、オフィスという場所に縛られない働き方を進めるために推進しています。

往復にかかる通勤時間を考えると、自宅等で出社しなくてもできる仕事があれば、柔軟な働き方が可能になってきます。

長時間労働

長時間労働は健康問題を引き起こすだけではなく、家庭生活とのバランスを取りにくくするため、特に女性の就業環境改善を妨げる要因になっています。

法制化の部分では、長時間残業に対する取り締まりや罰則が強化されそうです。

まとめ〜会社・個人としてできること〜

働き方改革は「暮らし方改革」でもあり、その範囲は非常に多岐にわたります。

単純に残業を禁止したり、女性管理職を増やすことだけではありません。

その会社・組織にとって、働きやすい環境を労使が協力して作り上げていくことが重要だと思われます。

会社にとってみれば、それは業務の見直しや就業規則整備になりますし、個人にとってみれば、能力開発や古くからある男女の役割意識の改革かもしれません。

働き方改革を通じて、その会社・個人にマッチした改革を進めていくことが重要だと思われます。

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吉村和也

社労士

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