働き方改革のメリット・デメリットって?人事視点で社労士が解説

働き方改革のように、新しいことを進めていくとメリットとデメリットが必ず出てきます。

現在、推進されている働き方改革の場合はどうなるでしょうか?

マスコミ報道を見ていると、長時間労働の問題に焦点があてられることが多く、このまま改革が進めば、長時間労働がなし崩し的に増えていくのではないかと印象を持つ方もいるかもしれません。

また、改革という言葉に、これからの何かとてつもない負担を負わされそうな印象を持つ場合もあるかと思います。

一方で、報道では働き方改革の一面しかとらえていない面があるので、今回は、働き方改革が進んだ場合のメリットとデメリットを考察します。

>>働き方改革まとめ!概要・メリットデメリット・事例【中小企業向け社労士解説】

働き方改革とは?

急速に進む少子高齢化、生産年齢人口の減少に伴い、このまま何も対策を講じなければ、経済規模縮小や社会保障システムの維持が困難になることが予測されます。

そのため、男女、年齢を問わず、誰もが働きやすい社会をつくり、全体の底上げを図っていくためには、法令や社会慣行などを変えていく必要があります。

こういった取り組みを通して、働き方や暮らし方を改善していこう、という考えが働き方改革です。

働き方改革は、3つの課題から始まり、9つの検討テーマ、そして19個の対応策が挙げられています。

詳しくは、以下の記事で触れていますので参考にしてみてください。

働き方改革のメリット

会社にとってのメリットは?

ズバリ、人材確保が最大のメリットです。

会社の目的の一つに、利益を継続的に上げていくことがあります。

利益を上げるためには、無駄をなくして生産性を上げることが必要ですが、これは自社の経営方針や仕事の進め方等を理解した社員がいて、初めて可能になります。

誰もが働きやすい柔軟な会社であれば、社員の定着率も改善され、また新しく入社してくる社員も自然に増えてきます。

実際に、首相官邸HPで紹介されている中小企業の働き方改革の好事例を見てみると、有給休暇や育児休業、勤務時間の等、柔軟な制度設計をしている会社が業績を伸ばしているようです。

また、最近の若い人たちは特に、長時間労働を避ける傾向があるので、時代にマッチした制度を導入出来た会社が先行して、働き方改革のメリットを享受できると言えるでしょう。

社員にとってのメリットは?

柔軟な勤務形態や就業形態が認められれば、仕事に係る時間が減らすことができ、他の活動をすることが可能になります。

育児や介護中であれば、その時間に充てられますし、また社外の研修などを受講して職業能力の開発に使うこともできます。

さらに、これまでの経験を生かして副業を通じ、収入アップもできるかもしれません。

これまでの慣行では、仕事と家庭生活の選択を迫られた場合、会社を辞めるか、家庭生活を諦めるかの選択に限られていました。

典型的な例は、出産を機会に多くの女性が退職するというケースです。

働き方改革を通じて、仕事と家庭生活の両立が容易にできることになる、そして別のことに時間を使える、これが最大のメリットだと思われます。

働き方改革のデメリット

会社にとってのデメリットは?

自社にマッチしていない無理な改革を進めると、デメリットとして無用な混乱が発生します。

働き方改革の一面にとらわれて、残業禁止や強制的な早帰り、また安直な女性管理職者数の設定は社員を混乱させるリスクが高まります。

また、それらの反動として、持ち帰り残業やモチベーションダウンが発生し、生産性が落ちることも予測されます。

特に、現在の経営が多数の人材による長時間労働によって成り立っている場合は、なぜ長時間労働が起きているのか、経営陣がその対策を含めて真剣に取組をしないと、無理な改革になり、社員のモチベーションが落ちる可能性があります。

また、働き方改革の一課題に、非正規労働者の処遇改善があります。

同一労働同一賃金が今後、厳しく法制化されていくと、正社員と非正規社員の間で説明ができない不条理な格差があると、法違反として訴訟になる可能性が出てくるかもしれません。

既に、裁判で非正規社員に対する不条理な処遇格差を是正するような判決も出ています。

従業員にとってのデメリットは?

会社にとってのデメリットと関連しますが、働き方改革を進める上で、残業禁止など、業務実態に即さない改革を会社から無理強いされることが無用のストレスになり、そのことがデメリットになり得ます。

長時間労働を是正することは喜ばしいことですが、長時間労働が発生する根幹を解決しない限り、そのしわ寄せは誰かに必ず行きます。

特定の社員の残業が増えたり、持ち帰り残業になってしまっては元も子もありません。

また、残業代を生活費の一部として生計をたてているとデメリットが生じそうです。

働き方改革は、短い時間で最大の利益を上げる生産性向上を目的としている以上、不要な残業はどんどん削減されていくことになり、残業代は必然的に減っていきます。

また、新しいIT設備の活用や知識取得が要求されることで、そのことも新たなストレスになるかもしれません。

まとめ

今後、AIの発展が仕事内容を大きく変えていくことが予測されています。

環境変化は様々な分野で、しかも著しいスピードで起きていますので、環境の変化に柔軟に対応ができないと会社としても個人としてもストレスにさらされそうです。

まだまだ働き方改革は始まったばかりですので、これからも様々な議論が出てくると思います。

自分の組織、自分の考えにマッチした改革を進められれば、従業員の満足度もモチベーションもあがり、生産性が向上していくはずです。

一方、無理な改革を進めると、無用なプレッシャーと混乱を生み出すことになり、組織としての方向性を見失い、従業員は去っていくことになりそうです。

働き方改革が多様な価値観を認めることを推進しているため、各自の考え方を反映させた自社にマッチする多様な働き方改革があって当然だと思います。

また、日本の長年にわたる労働慣行を変えてゆく必要もあるので、すぐに期待する効果があるとは限りません。

こういった意味でも、報道や周囲の企業動向に影響されることなく、自社に適した方法で進めていくことが重要です。

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吉村和也

社労士

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