「大人の発達障害」というのを知っていますか?
決して、大人になってからなるものではなくて、実は子どもの頃から、「なんだかちょっと変わっているな」と思われていたかもしれないけれど、学校も卒業できて、就職も問題なくできて…。
でも、仕事を持ち、社会生活を行う中で、ミスが多かったり、スケジュールの調整がうまくできなかったり。
同時にいくつかのことを行うことができないなどで、上司に怒られることが多く、アレ???もしかして???と気づく方が多いんです。
このような、大人になってから気づく発達障害を、最近では「大人の発達障害」などと呼ぶようになりました。
ここでは、そんな大人の発達障害の特徴などを保健師が解説します。
大人の発達障害とは?(特徴・症状)
発達障害とは、脳の機能障害のひとつで、生まれつき脳に発達上の特性(偏り)があることで、「社会性」「コミュニケーション」「興味・活動」といった分野において、なんらかの障害や困難がみられる状態をいいます。
代表的なものとして、
「ADHD(注意欠如・多動症)」
「ASD(自閉スペクトラム症)」
「SLD(限局性学習症)」
などがありますが、各々の特徴と症状を下記に示します。
「ADHD(注意欠如・多動症)」
「ASD(自閉スペクトラム症)」
「SLD(限局性学習症)」
ADHDやASDには知的な遅れがみられないため、子どもの頃は「ちょっと変わった子」程度で、障害が見過ごされることも少なくありません。
就職してから対人関係がうまくいかなかったり、仕事のミスが続いたりすることに悩み、問題が表面化するケースが多くみられます。
大人の発達障害?6つのチェック項目
(1)物事の優先順位が分からない
やるべき仕事が複数ある場合、どの順番で手をつけてよいのかが分からず、どれもうまくいかないといったことがあります。同時進行でいくつかの仕事をこなすということは苦手です。
(2)やるべきことを先延ばしにする
目についたものに興味を示して集中力が散漫してしまうため、中長期な仕事はあまり向きません。
(3)仕事のミスが多い
細かなミスが目立つことがあります。また、何かをやっている最中に電話などが入ってそちらに気を取られてしまうと、その前にやっていたことを忘れてしまうことが多く、ミスにつながることがあります。
(4)遅刻が多い
「段取りをして準備をする」ことが苦手なので、たとえば、家を出て会社に向かう直前に忘れ物に気づき慌てて遅刻してしまう、といったことがしばしば起きます。
(5)臨機応変ができない
急な予定変更があるとどうしたら良いのか混乱してしまう傾向にあります。
(6)空気が読めない
誰かの気持ちに共感したり、その人の気持ちを想像したりすることが苦手です。冗談で言っていることも、真に受けてしまい傷ついてしまうこともあります。
大人の発達障害の治療法とは?
発達障害の治療法には、心理社会的治療と、必要な方には薬物療法があります。
心理社会的治療って?
心理社会的治療として、「環境調整」や「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」などがあげられます。
「環境調整」
騒音が気になる場所での作業を避け、静かで集中できる場所で仕事を行うといった調整です。
「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」
社会生活を行う上で必要な技術(スキル)を磨くトレーニングのことをいいます。SSTは、私たちの運営する居場所(フリースペース)ほっといい場所ひだまりのような支援機関などで行っています。
大人の発達障害の薬物療法って?
薬物療法は、障害とうまく付き合っていくために必要な方に行われます。
薬物療法において、発達障害は「病気」ではなく、「症状」という捉え方をします。
そのため、発達障害そのものを治すというよりは、困っている症状に対して薬を使用する、薬で治すのではなく、発達障害という特性を持った自分と、時には薬の力を借りながら、うまくつきあっていくといったイメージです。
たとえば、ADHDの方で多動・衝動で困っている場合は、それを抑える薬であったり、
二次的にうつ状態になってしまった方には、その症状に応じた薬物治療を行います。
薬は必ずしも一生服薬するといったものではないんですよ。
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