パワハラを訴えるには?準備に必要な証拠を社労士が解説

パワハラを受けて我慢の限界を超えたために訴えたいと思ったり、あるいは企業の人事関係の方がパワハラ相談を受けているのだけれども、証拠がないために判断に困っている、ということがあります。

ところがパワハラを直接定義する法令がなく、定義も明確に法制化されていませんのが、どこに訴えるにしても、被害を具体的に説明するには証拠が重要になります。

>>【社労士解説】パワハラ問題まとめ〜定義・対策・事例・相談先・訴訟〜

そもそもパワハラの定義は?

厚生労働省では職場のパワハラを以下のように定義しています。

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」

また、この一連のコラムでは7つの具体例をご紹介した記事もありますのでそちらも併せてご確認ください。

このような行為を具体的に受けた、ということを訴えるための証拠をどのように集めていくかをご紹介していきます。

なぜパワハラの証拠が重要か?

パワハラを受けている方は、どこにどのように訴えますか?

行為者本人、その上司や会社の人事部、また会社規模によっては相談窓口が設置されているケースもあれば、社外の労働組合や行政機関、弁護士や社労士も相談先候補になってきます。

また慰謝料を請求したいので裁判に訴える、というお考えの方もいるか思います。

どこ相談するにせよ、証拠がなければ相談を受けた先は、当事者間のヒアリングしかできないために適正な判断ができず、貴方の主張が十分に認められない場合もあります。

主張をする際は、感情論ではなく、このようなことが事実としてあった、ということを客観的に説明するための証拠が重要です。

パワハラの証拠集めはこうする

履歴を残す

被害を受けたあなたが受けた行為・とった行動を全て履歴に残すことからはじまります。具体的には以下の3つになります。

A:いつから、誰からどのような行為を、何を理由に受けたのか
B:パワハラに対して、あなたはNOという意思表示をいつ、どのようにしたのか
C:上司や相談窓口にいつ、どのような内容と自分の希望を相談したのか

これらの履歴を残しておくことで、自分の整理になりますし、もしも会社外部に相談をする際にも、経緯が一目でわかります。

また、受けていたパワハラ行為だけでなく、それまで相談した勤務先が適切な対応をしているのかどうかまでわかりやすく整理された証拠になっていきます。

客観的な記録を集める

前述の履歴資料は自己作成です。

しかし客観的に見て、パワハラ行為が明白になる証拠があると自分の主張に信頼性が大きくなります。

第三者から見た場合の明確な証拠としては以下のようなものになります。

A:音声録音

パワハラ対策に録音は効果的?3つのポイントを社労士が解説】でもご紹介しましたが、録音による証拠は誰が聞いてもその場の状況をリアルに伝えられる証拠になります。

常に録音ができるわけでないことや、提出する先によっては文字化が必要等の注意点もありますが、比較的容易に準備が可能です。

B:メール等の文面

これも集めやすい証拠になります。本人以外にもCCで同僚に送信されているパワハラメールや、過度の仕事を指示するメールはそのまま印刷すれば、貴方の主張を裏付ける一つの証拠になっていきます。

C:辞令やタイムカード

意外に思われるかもしれませんが、会社から受け取る辞令もパワハラの証拠となる場合があります。辞令は会社から社員に対する正式な業務指示書です。

その指示書とこれまで自分が会社に貢献してきたことを比較した場合に、次の異動先(仕事内容)との乖離があまりに酷い場合、辞令はパワハラ証拠としての機能を持ち出し始めます。

またタイムカードは長時間労働を労働基準監督署が取り締まる場合に必ずチェックする資料になります。パワハラと長時間労働がリンクしている場合はやはりその証拠になっていきます。

第三者からの証明

上記の②よりもさらに客観度が高い第三者からの証明になります。貴方の主張を最も強く裏付けるものになる可能性が高い証拠です。

A:診断書

医師による診断書は公的文書として扱われます。暴力的行為でのケガや精神的な攻撃で心疾患になってしまった場合、診断書にはその傷病がいつから、どのような原因でなっているのかを記載する医師の所見欄があります。

B:同僚・家族の協力

パワハラ行為が同僚の前で行われていた場合、それを目撃した同僚の証言も証拠になります。

同僚の中には協力してくれないケースもあるかもしれませんがパワハラ行為を止めさせないと、組織が崩壊してしまうことを理解いただいた上で協力を求めることがポイントです。

また本人が追い詰められていて、もはや余裕がない場合、家族も帰宅時間や休日出社などの履歴をメモしておくことでも証拠として認められることがあります。

まとめ

パワハラ被害を訴える際に、その行為が果たしてパワハラに該当するのか否か、相談を受ける側は難しい判断に迫られます。

証拠はその判断をする際の一つの根拠となります。

証拠集めと聞くと、何か特殊な行為というイメージがあるかもしれませんが、今回ご紹介した集め方は誰もが容易にできるものばかりです。

また、ネット上には過激な証拠集めの方法を指南するものもあります。

パワハラは被害者も行為者も企業も「三方みな損」になる行為で何も生み出さないものです。

多くの企業でパワハラ問題が発生しないように十分な予防策を講じ、万が一発生したとしても早急に対策ができる体制づくりの準備を進めていただきますよう心から願っております。

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吉村和也

社労士

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