パワハラによる退職に慰謝料って出る?出ない?社労士が解説

ひどいパワハラに遭い、退職するだけでは気が収まらず「慰謝料を請求したい」と考えている方もいるでしょう。

今回は、実際に慰謝料の請求が可能なのかを今回はご紹介していきます。

なお、慰謝料と和解金の言葉の上での細かい相違については触れずに、ここでは慰謝料としてすべて表記します。

まずはパワハラとは?

現在、パワハラを直接規制している法律はありません。

しかし厚生労働省からは定義と6つの代表的な行為が案内されておりますのでご紹介します

パワハラの定義

同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為

6つのパワハラ例

  • 暴行・傷害 等の身体的な攻撃
  • 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言等の精神的な攻撃
  • 隔離・仲間外し・無視等の人間関係からの切り離し
  • 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制等の過大な要求
  • 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと等の過小な要求
  • 私的なことに過度に立ち入ることでの個の侵害

慰謝料の請求が可能か?

上記の例のような行為を通じて個人の権利を著しく侵害していれば、慰謝料を請求することは可能です。

ではどれくらいの金額を請求できるのでしょうか。

請求する金額は、その人の考え方ですので自由に設定が可能です。

しかし実際の決着は受けた内容や期間、加害者の立場などによって大きく異なり、0~数千万円のケースがあり、平均すると50万円~100万円くらいが相場のようです。

数千万円になるケースは、パワハラを原因として被害者が死亡したようなケースです。

いきなり裁判?その前に…

いきなり裁判をお考えになる方もいるかもしれませんが、その前に複数の相談窓口があるのでご紹介します。

都道府県労働局のあっせん・個別労働紛争

会社が話し合いに応じる余地があれば、会社に対する請求を交渉する場を設けてくれます。

また、費用も弁護士等を雇わない限り、特に掛かりません。

双方の話し合いがまとまれば、会社は金銭の支払いに応じてくれます。

ただし、会社にはあっせん・個別労働紛争に応じる義務はないため、その場に出席しないこともありますし、また加害者個人に対する請求もできません。

民事調停

裁判所が提供する紛争解決手段の一つです。

裁判は裁判官が法に照らし、双方の言い分や証拠をもとにどちらの言い分が正しいのかを判断していきますが、調停は当事者間の話し合いです。

譲れないところ、譲れるところを明確にして調停委員が双方の歩み寄りを促す制度で、簡易裁判所で通常行われます。

訴訟よりも手数料が安く、時間もかからないことも魅力です。

裁判

裁判は最終手段です。

双方の言い分を証拠と共に提出し、裁判官に判断してもらう制度です。

弁護士の手助けは必須になり、時間も費用もかかります。

費用は弁護士に対して、概ね訴訟額の20%~30%、裁判費用として訴訟額に応じた印紙代を負担することになります。

一例をあげると、500万円の訴訟であれば、弁護士に対して100万~150万、裁判所への印紙代として3万円になります。

重要なポイントはやはり証拠

どこに訴えたとしても、パワハラがどのよう行われていたのかを説明する上では証拠が重要になってきます。

被害者からであれば、音声録音や医師の診断書、同僚の証言などがパワハラを裏付ける証拠になります。

また、会社や加害者からすれば、その社員の過去の懲戒履歴や勤務態度、能力などを提出して、業務指導の範疇に収まっていることを証明する必要があります。

予防策が一番の対策

いくら話し合いで決着しても、しこりが必ず残りますのであっせんや調停、裁判に訴えるのであれば、退職前提で臨むケースになるはずです。

また、その主張が認められないケースも当然あります。

そうすると、もっと前の段階、被害者はパワハラを止めるように、「声を上げる」「会社は普段から発生防止に努める」という予防策を講じることが一番の対策になると思われます。

なおパワハラによって怪我をさせられたり、精神疾患になった場合で、その被害が労災と認定された場合は被害者の主張が認められやすい傾向があります。

まとめ

あっせんや調停等の話し合いで決着がつけばまだ良いのですが、裁判にまで発展すると時間も費用も当事者にかかってきますし、判決に不服で控訴していけば、更に負担がかかる可能性もあります。

その意味でも裁判は最終手段となります。

また裁判になればどこかでその噂は他人の耳にも入るので、その噂が会社にとっても被害者にとっても、どのような影響を与えるかは想像がつきません。

残念ながら、パワハラを理由とするあっせん件数や訴訟は増加傾向にあるようです。

そうなる前の予防手段、これが一番の対策になるのではないでしょうか。

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吉村和也

社労士

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