副業を解禁する大手企業の名前を報じるニュースを読むと、「わが社でも副業を取り入れた方がよいのか?」とお考えになるケースがあるかと思います。
副業を解禁することのメリット・デメリットを検討したうえで、「デメリットが大きいので禁止したい」と思ったときにどのように就業規則に記載したらよいのか、ポイントをご紹介します。
>>副業に関する就業規則の書き方や見方とは?【社労士解説まとめ】
副業のメリット・デメリットは?
社員にとってみれば収入源が増えますので、副業を認めてくれれば喜ばれるケースが多いですが、経営者や管理者から見るとどうでしょうか。
代表的なメリットとデメリットを整理しました。
社員の意識付けが変わる
他の仕事を通じて得られるスキルと経験は、そもそも教育しようとしても難しいです。
また、新しい経験を通じて得られたスキルは貴社の業務上にも役に立つことが多いと思います。
特に、経営者的な判断を必要とする副業をした場合は、そこで得られた価値観は企業にとってプラスになると思われます。
人材確保の柔軟化
副業を認めるということは、仕事に対して自由な気風があることのアピールにもなりますので、人材確保にとってもプラスになることが期待されます。
また、同時に自社で採用することが困難な人材を副業してもらうことで、新しい気風を社内にもたらすこともメリットの一つです。
一方、デメリットですが、厚生労働省の調査では以下のような回答が得られています。
メリットが大きいかデメリットが大きいかは業種や入社年次、役職にもよると思いますので、各企業が分析し検討をすることが必要です。
副業をめぐる判例について
メリットとデメリットを検討した結果、禁止にしておきたいと判断され場合に参考となる過去の判例があります。
就業規則で副業禁止となっているにもかかわらず副業をし、懲戒解雇処分がなされたケースです。
副業に対する懲戒解雇が有効とされた事例
副業に対する懲戒解雇が無効であるとされたケース
副業禁止にするためのポイント
上記でご紹介した判例のポイントを読み解くと、一定の解釈が見えてきます。
勤務時間外の時間は社員が自由に利用できるが、社内秩序維持のために一定の規定を設けることは不当ではなく、重要なことは会社と信頼関係が維持できるかどうかになってきます。
副業禁止を就業規則に記載する際のポイント
副業をすることで信頼関係が維持できないと判断し、禁止する場合は、以下のようなエッセンスを就業規則に織り込むことが必要です。
この3つが最低でも記載されていれば社員も安易に副業を行うことを減らせられると思われます。
まとめ
厚生労働省の調査では、85.3%の企業が副業を認めていません。
やはり情報漏洩や長時間労働につながることをリスクとして捉えていることの表れかと思われます。
このことを考えると、多くの企業で副業が全面解禁になる日はまだ先と思われます。
一方で、国家公務員の副業が一定のルールの下で、既に許可されていることも注目すべきことです。
国は企業が副業解禁した場合のモデル就業規則を出したり、労働時間の考え方について議論を重ねて推進しようとしていますが、個々の企業によって状況は異なりますので、慎重に検討していくことをお勧めします。
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