女性活躍推進法とは?事例・助成金の活用方法を社労士が解説

女性活躍の推進をする企業の話題を聞くことが増えてきました。

政府も2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%とする目標を挙げ、重要かつ喫緊の課題としています。

中小企業でも正しく理解をして推進して生産性を上げているケースが増えてきていますので、その事例や取り組むメリット等をご紹介していきます。

女性活躍が重視される背景

まず背景として、急速に進む少子高齢化と、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)減少があります。

これらにより、性別や年齢を問わずに、誰もが長く快適に働きられ続けられる環境を早急に整備する必要性があります。

近年、既に採用難で人材不足が言われていますので、上記の背景については容易にご理解いただけることかと思います。

特に女性については日本固有の課題が3つあり、女性が社会で活躍し能力が十分に発揮できていない状況にあります。

女性を取り巻く日本の課題

・第一子出産後に約5割の女性が退職する。退職理由のトップは就業と子育てが両立困難なため。またその後の就職はパート等の非正規に6割が就く。

・就職を希望しているのにもかかわらず働いていない女性が約300万人いる。働きたい希望と条件のミスマッチが大きい。

・指導的立場(管理職)に占める割合が5%で国際的に見ても低い。

このような状況を改善していくために「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下、女性活躍推進法)」が平成28年に定められました。

女性活躍推進法とは?

常時雇用する社員が300名超の会社に対して、女性活躍推進法は次のような行動を求めています。

・自社の女性活躍に関する状況を把握し、課題を分析すること

・課題を改善するための行動計画を策定して、社内周知と外部への公表をすること

・自社の女性活躍情報(女性社員人数等)も併せて公表すること

計画や情報の公表は自社のHPや厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」でおこないます。

300名以下の会社に対しては努力目標とされていますが、積極的な取組が期待されており、実際に計画が公表されている企業も多数あります。

中小企業における女性活躍推進の事例

実際に女性活躍推進を取り組んでいる事例の共通点をご紹介します。

各企業の細かな活動は厚生労働省HPで公開されており、建設業など、これまで男性向きとされてきた企業も紹介されています。

各企業が課題としている点

A:女性の社員が少ないこと

B:女性社員の配属先が偏っていること

C:女性管理職がすくないこと

改善するための対策

A:子育てなどで休日が必要な社員に対して取得をしやすい環境作る

B:業務分とその分担の見直しを通じて長時間労働の改善

C:キャリアアップ意識の改善

女性活躍推進のメリット

具体例をみていると、どこの企業にもありうる課題ですし、改善策は特殊なことをしているわけではなさそうです。

結局、男性も女性も働きやすい環境を作り、長く快適に働こう、ということを目指している部分は、女性男性を問わず共通している部分と考えられます。

また、これから仕事に就く人にとっても、このような環境が整っている会社で仕事をしたいと考えることが当然だと思います。

「考え方が変われば、環境も変えられ、そして成果も変わる。」

女性活躍を推進することで、このようなプラスの連鎖が始まると良いですね。

女性管理職を増やせばOK?

なお、女性管理職を増やすことが女性活躍推進だという誤解も散見されます。

管理職を増やすことも確かに女性活躍の一環ではありますが、管理職を務める上では、男女の意識改革(これは男の仕事、女の仕事)や環境整備が前提にあります。

もしも前提を整備しないまま、女性管理職を増やすことだけを実施しているとしたら、むしろ悪影響が出る可能性もあります。

その点、一度立ち止まって環境整備に目を向けてください。

女性活躍推進に関する助成金について

会社が女性活躍推進を行うことで受給できる助成金や認証マークがあります。

助成金の名称は「両立支援助成金(女性活躍加速化コース)」となっており、取組によって2つのコースが設定されています。

加速化Aコース

自社の女性活躍に関する状況と課題を分析して、改善計画(一般事業主行動計画)を策定し、公表と労働局への提出をする。

例えば、女性社員を増やすために専用のHPを作成や女性候補者に職場見学会を計画する。

計画に定めた行動を実際に行うことで28.5万円を受給。

加速化Nコース

一般事業主行動計画で立てた数値目標を実際にクリアできた場合に28.5万円を受給。

例えば、女性社員を社員全体の何パーセントまで増やすとした場合に、その割合を達成したことで受給。

AコースとNコースが共に達成できれば合計で57万円になりますし、その間に一定数式により計算された生産性が向上していると上乗せもあります(平成30年3月時点)。

女性活躍推進に関する認証マークについて

えるぼし」という認証マークをご存知でしょうか?

これは女性活躍推進法に基づく行動計画を労働局に提出した企業の中で、

・女性の採用比率

・女性の管理職割合

・勤続年数

・労働時間の適正化

・キャリアコースの設定

の5項目について、その達成具合に応じて認証マークが付与される仕組みです。

5項目の達成数が多いほど、星のマークが増えます。

「えるぼし」を取得すると、名刺や会社案内などに認証マークが印刷できるようになり、求人広告などにも掲載可能です。

また、公共事業などでも加点ポイントになります。

平成30年2月末時点では全国で554社が獲得しています。

また行動計画の策定が努力義務である300名以下の会社でも121社が取得しています。

まとめ

女性活躍推進とは、「女性管理職を増やすこと」とか、「”男並み“の就業環境で長時間仕事をすること」等の誤解されている面もあります。

しかし、そうではなく、誰もが働きやすい会社環境づくりを進める上での一つの呼び名にすぎません。

会社環境づくりを進めていく上で、これまでとは違った考え方や労働慣行が必要になり、その点では一時的に混乱するケースもあるかもしれませんが、この方向性は労働者人口減少を考えると正しいと思われます。

中手企業の場合は、その会社の個性を反映させた「女性活躍推進」が可能です。

また進めていく上では、ハラスメント対策などの前提条件も整備が必要です。

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吉村和也

社労士

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