財務省とテレビ朝日から学ぶべきセクハラ問題のポイントとは?社労士が解説

財務省事務次官がセクハラ発言を行っていたという報道があり、様々な憶測や議論が行われていましたが、18日に事務次官は辞意を表明、そして被害者はテレビ朝日の社員であることが同日深夜に開かれた緊急会見で判明しました。

今回は行政機関の職員と大企業の社員の間で発生したことですが、セクハラ自体は決して特殊なことではなく、セクハラは組織の大小を問わず実際に起きています。

そして対応方法を誤ると非常に大きなトラブルに発展します。

今回の騒動からセクハラ発生防止に向けた取組のためのポイントをご紹介します。

そもそもセクハラとは?

1989年(平成元年)にセクハラを理由とした国内初の民事裁判が起こされ、この年の新語・流行語大賞で新語部門金賞を「セクシュアル・ハラスメント」が受賞しました。

当時の日本にはセクハラという概念はなく、男性から女性に対して、スリーサイズや恋人の有無を聞いたりすることはスキンシップだと言われ、多くの被害者が不快な思いをして我慢を強いられてきました。

現在、男女雇用機会均等法ではセクハラを次のように定めています(一部省略)

「職場において。労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したり抵抗することによって解雇・減給~不利益を受けることや、職場の環境が不快になることで~能力の発揮に重大な悪影響がでること」

ガイドが法務省から出されています。

「行為者が誰かによって、受け手がセクハラなのかどうかの判断が変わってくるのはおかしい」という声があります。

確かに判定は難しい面もあります。

しかし、人種や年齢、性別などを理由とした差別的な発言が、相手の不快感を無視した人権問題として捉えられている現在、セクハラも同じく、相手の不快感を無視している点で人権問題として捉えられ、被害は女性だけでなく、男性に対しても成立します。

企業視点でのポイント

例えば、あなたの会社の社員は「セクハラ」をどのように理解していますか?

セクハラへの理解が各社員バラバラだと、行為者は「これくらいのことで」「そんなつもりではない」等々の釈明が必ず出てきます。

また被害者はなんでもかんでもセクハラと言い出すことがあります。

何がセクハラなのか、一定の事例を示しつつ社員に対して案内を行い、発生予防をすることが最初の対応になります。

大企業であればコンプライアンス研修の一環でセクハラ研修が行われています。

一方、中小企業の場合はその機会がないケースが多いので、言い換えれば、社員の数だけセクハラの理解があると言っても過言ではありません。

官公庁でもセクハラ教育は必ず実施されています。

しかし、それでも今回のような録音が世に出回るということは、予防だけでは不十分と言えます。

セクハラ対応窓口の設置

セクハラが発生したと被害を申し出てきた社員がいる場合に、プライバシー保護を始めとする対応をどのようにするのか、またどこの窓口が行うのか、等々の十分な備えが予防と共に必要な措置です。

今回、テレビ朝日では女性社員が上司に被害を申し出したところ、「2次被害」を懸念して自社では公表しないという初動をしていたようです。

局内に適切な相談窓口がなかったのか、あるいは機能していないのかは、伺い知れませんが、社内の相談窓口が適切な対応をしなければ、被害者は社外の機関に相談窓口を広げる行動をとることになっていきます。

今回のような音声録音が出てくるケースはこれからも増えていくかと思われます。

そうすると初動対応がますます重要になっていきます。

被害者視点のポイント

我慢する必要はない

組織の和が乱れるとか報復されそうだとかご心配はあるかと思います。

しかし、少なくても不快な言動に対して「NO!」という明確な意思表示は重要です(パワハラも同じです)。

長期間における我慢は「受忍の範囲」と解釈されるかもしれませんし、もっとひどいと精神的な疾患になってしまうかもしれません。

第三者への相談

自分になにか落ち度があるからセクハラされるのでは?と考え込んでしまう必要もありません。

その判断に迷ったら、信頼できる第三者に相談することをお勧めします。

相談先は労働局や労働基準監督署でも受け付けてくれます。

行為者視点でのポイント

自分ではそんなつもりではない、という釈明が通りにくいです。特に今回のように証拠が出てくれば苦しい立場になります。

普段から性的な言動を冗談・スキンシップとして考えている場合は、今回の事件を機に、考えを改めることを強くお勧めします。

まとめ

仕事柄、これまで様々なセクハラ相談を受けてきました。

犯罪行為と思われるもの、当事者間の些細な勘違い、中には美人局?と思われるようなタイプまであり、発生している組織の大小や業種は関係ありませんでした。

発生してしまったことに対する労力やその後の当事者間の関係修復を考えると、予防と対応窓口の初動が非常に重要だと思われます。

今回の一件は表に出てきた数多くのセクハラの一部です。

裁判では行為者個人だけでなく、適切な対応を組織が取らない場合はその管理責任も問われています。

この点が企業防衛の一環としてのハラスメント対策をおススメしている大きな理由です。

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吉村和也

社労士

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