「働く」や「健康」の定義が多様化してきている中で、企業はどのような対応をすべきなのでしょうか。
今回のコラムでは、健康経営アドバイザーとして、そしてミレニアル世代の1人の若者として、現在の「働き方改革」や「健康経営」に抱いている違和感をもとに、「3つの問い」をまとめました。
少しでも、意義ある「働き方改革」や「健康経営」を実現していく上でのヒントになれば幸いです。
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【1】事業戦略との歯車は噛み合っている?
1つ目の問いは、「働き方改革・健康経営と事業戦略との歯車が噛み合っているか?」です。
働き方改革といえば、ノー残業DAYなど長時間労働の是正。
健康経営といえば、運動キャンペーンや健康診断の徹底。
そんなイメージを持っている方が多いかと思います。
しかしながら、それらはあくまで「ミクロな戦術の1つ」です。
少しマクロに考えると、働き方改革や健康経営は経営戦略上、人事戦略の一部として位置付けられると捉えることができます。
そして、組織経営は「事業戦略」を軸に行われます。
組織戦略は事業戦略を下支えする機能を持つため、基本的には事業戦略を軸に最適な組織戦略を取っていくことになります。
つまり、「事業戦略によって最適な組織戦略は異なる」ということです。
「働き方だけ」を変えても、根本的な問題の解決にならないということも自明でしょう。
「事業戦略」と「働き方改革・健康経営」が一体となって歯車が噛み合うことで始めて組織が一貫性を持って動き出します。
また、競争環境の激しい市場で、特に他社と差別化が難しい製品・サービスを、現場の底力だけを頼りにした事業戦略を続けていては、いくら働き方を変えても根本的な問題が事業戦略にあるため、働き方は良くならないでしょう。
こういった観点が大切になるのではないでしょうか。
【2】改革に「結論」があるか?
2つ目の問いは、「改革に結論があるか?」です。
「改革」を推進する上で、1つ1つの施策を実行していくことは大切です。
しかしながら、永遠に「改革」を続けていては、結局何を目指しているのかが分からなくなってしまいます。
最終的な結論を持たず、行き当たりばったりで改革を推進してしまうと、前年度に生じた問題の改善を続けた結果として、目的を見失うことになり兼ねません。
改革のシナリオには、結論が必要です。
働き方改革や健康経営の結論は、自社の経営哲学、価値観、譲れないこだわりを体現した理想の組織状態を具体的に現場レベルまで落とし込んで描き切ったものになると思います。
絶対的な正解はないかもしれないですが、だからと言って、何も考えないと路頭に迷うことになってしまいます。
改革の結論に仮説を持ち、ブラッシュアップし続けるということが大切だと言えるでしょう。
【3】自分自身が理想を体現している?
3つ目の問いは、「自分自身が理想を体現しているか?」です。
制度を作ることは労力をかければすぐにできるでしょう。しかし、制度を作るだけでは改革には不十分です。
組織を変えることに対する経営と現場、双方の強い意志がなければ、実行性の高い施策を実現することは困難です。
働き方改革を担当している人が何時間も無駄な会議をして深夜まで残業している…。
健康経営を担当している人が不健康そうで元気がない…。
このような組織では、施策が形だけになりがちなのは容易に想像できるでしょう。
働き方改革・健康経営を推進していくためには、まずは自分自身がロールモデルとして、日々の言動で理想を体現していくことが大切なのではないでしょうか。
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